政治資金を監視してきた上脇博之・神戸学院大学法学部教授が指摘する。
「選挙区内での寄附は公職選挙法で明確に禁止されています。このケースは、会社名の寄附だから問題がないと考えたのかもしれないが、公選法199条の3(公職の候補者等の関係会社等の寄附の禁止)では、候補者の氏名が類推できる会社などを通じた方法での寄附も禁止しています。埼玉10区では坂戸ガス=山口氏の会社ということは選挙民に浸透していると聞きます。そうすると、会社からの寄附であっても公選法に抵触する可能性が高い。ましてや寄附を受けた自治体の首長らが山口氏の息子を支援するチラシに登場しているのは、寄附の見返りとも見られかねません」
山口事務所にぶつけると「会社で対応する」、坂戸ガスはこう回答した。
「弊社では、20周年にも供給区域の自治体関係に車両を寄附しておりますが、50周年ではコロナ禍の中で尽力されている供給区域の自治体に寄附をした次第です。寄附金額は、各供給区域のお客様件数に応じ按分し機械的に算出した。たまたま周年事業の後に解散総選挙となっただけのことです。山口晋氏の選挙とは全く関係ございません」
寄附した時点で山口氏は選挙を取り仕切る選対委員長だった。引退しても本人が説明責任を果たすべきではないか。
※週刊ポスト2021年11月12日号