岸田文雄・首相(時事通信フォト)
さらに防衛大綱見直しでは、日本の「原子力潜水艦保有」という重大なテーマが控えている。自民党総裁選では、高市氏と河野太郎氏が日本の原潜保有に前向きな姿勢を見せたのに対し、原爆被爆地の広島が地元の岸田首相は「通常の潜水艦は静寂性などでは原潜より優位性があるとの指摘もある」と反対した。自民党防衛族が語る。
「これまでは原潜は核保有国しか持てないという暗黙の了解があったが、米英豪3か国が締結した『AUKUS』の軍事協力で核保有国ではないオーストラリアが原潜(通常兵器搭載)を建造することになった。それを受けて自民党のタカ派には、この機会に日本も通常兵器型の原潜を建造して中国の脅威に対抗すべきだという声が強まっている」
これから敵基地攻撃能力、防衛費2倍、原潜保有を議論するとなれば、岸田内閣は公明党を含めた与野党から猛批判にさらされるのは間違いない。火中の栗を拾わされているうちに、政権は“火だるま”になりかねないということだ。
それでもやれというのが安倍・高市氏の報復なのである。
※週刊ポスト2021年11月12日号