比例で復活した議員
「魔の4回生」の誕生
別掲のリストは、問題ある言動で選挙区の有権者から不信任されながら、復活当選した主な“ゾンビ議員”たちだ。
デジタル庁創設の責任者だった平井卓也・前デジタル担当相は、大臣政務官時代に大臣等規範に反してIT企業の未公開株を取得、売却して利益をあげた(後に「不注意だった」と謝罪)ことや大臣時代のNTTからの接待問題で有権者の批判を浴びて敗北、比例復活すると「皆さまのご支援のおかげ」と喜びの声をあげ、反省の弁はなかった。
新潟の有権者に二度続けてNOを突きつけられながら議席を得たのが塚田一郎・元国交副大臣だ。麻生氏の元秘書の塚田氏は、巨大公共事業をめぐる「忖度発言」を批判されて前回参院選(2019年)では新潟選挙区で落選、すると今回は衆院の新潟1区から出馬し、ここでも有権者に大差で落選させられたにもかかわらず、比例代表で復活当選して議員バッジを取り戻した。
女性スキャンダルが報じられた小里泰弘・元農水副大臣は開票番組で選挙区敗北が報じられると「ひとえに私の力不足。本当に申し訳ない」とガックリ肩を落としたが、その後、復活当選が分かると一転して支持者と握手。
兄の石原伸晃氏が比例復活もできずに落選したのに対し、小選挙区で敗北したものの比例で首の皮1枚つながったのが弟の宏高・元環境副大臣だ。今回の選挙では、恒例だった「石原軍団」や父・石原慎太郎氏の応援もなく、これまで彼らがいかに「石原ファミリー」の後ろ盾に守られていたかが明らかになった。
今回の総選挙では、不行跡議員が多く「魔の3回生」と呼ばれた2012年初当選組は9割以上の69人が当選したが、そのうち20人は比例復活だ。
台風被災地の視察で長靴を持参せず、水たまりを政府職員におんぶされて渡った長靴事件の務台俊介・元復興政務官、公設秘書が車検切れの車で当て逃げ事故を起こしたときに同乗しながら「当て逃げの認識はなかった」と釈明した武井俊輔・元外務大臣政務官、地元・那覇市の繁華街で酒に酔って暴行事件に巻き込まれて重傷を負った國場幸之助・外務大臣政務官なども揃って選挙区で敗北しながら、今や“魔の4回生”となった。
そして現職大臣で唯一、選挙区で敗北したのが若宮健嗣・万博担当相だ。
「大臣の肩書きは選挙で非常に有利に働く。選挙に向けて箔をつけてやるために入閣させるケースもあります。その現職大臣が選挙区で負けたというのは、政治家としての能力を有権者から疑われているということ。そういう政治家に大臣を続けさせるのは疑問が残ります」(岩井氏)