国内

「機械翻訳=手抜き」は時代遅れ 次のブレイクスルーはいつか

便利な機械翻訳だが、使いこなすにはスキルが必要になる(イメージ、Getty Images)

便利な機械翻訳だが、使いこなすにはスキルが必要になる(イメージ、Getty Images)

 Google翻訳を活用して英語小論文を読むという、ユニークなオンライン講座が10月末から角川ドワンゴ学園でスタートした。その背景には、実用的なスキルとして「機械翻訳の使い方を学ぶ」ということの重要性が増していることもあるようだ。現在、機械翻訳はどのように活用されているのだろうか。また、近く到来する可能性のある新たなブレイクスルーとは──。

 2010年代を通じてAIの深層学習を利用した“ニューラル機械翻訳”が導入されて以降、飛躍的に精度が向上したと言われる機械翻訳の世界。ウェブ上にはGoogle翻訳をはじめ多種類のサービスが存在しており、中でも昨年日本語版がリリースされたDeepL翻訳はその使い勝手の良さから高い評価を得ている。

 一方、機械翻訳の発展はいくつかの懸念材料ももたらしているようだ。例えば現在、世間でまことしやかに囁かれているのは、翻訳書を商業出版する際に機械翻訳だけで訳出作業を済ませてしまっているパターンがあるのではないかという噂である。

『自動翻訳大全』(三才ブックス、2020年)の共著者でもある立教大学異文化コミュニケーション学部教授の山田優氏によれば、翻訳作業において機械翻訳を活用することは、今や主流になっているという。山田教授が解説する。

「産業翻訳の分野では、まずは機械翻訳を使用し、エラーが出てきたら直していく、“ポストエディット”と呼ばれるやり方が広まっています。世の中の翻訳の大半は一度機械翻訳にかけている。少なく見積もって30%くらい、分野によっては80~90%は機械翻訳を使用しています。

 機械翻訳を使うのは当たり前で、それをプロの翻訳者たちがエラーをチェックしたり、より良い訳文に書き換えたりするという作業工程が普通になりつつあるんです。そのため、『ポストエディットがおざなりだった』という指摘はあり得るとしても、『機械翻訳を使ったから手抜きだ』という批判はもはや時代遅れと言えるのではないかと思いますね」

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン