維新には政権戦略が見えてきた。大阪の維新の地方議員たちは、自民党顔負けの徹底したドブ板作戦を教え込まれているから選挙は滅法強いことで知られる。大阪市議時代の吉村氏もその1人だった。
そこで来年の参院選で議席を伸ばして全国的に足場をつくり、2023年の統一地方選で地方議員を大量に擁立し、ドブ板を教え込んで当選させれば、各地で“大阪現象”を起こす布石が整う。
勝負をかけるのは参院選後の「次の総選挙」だ。憲法改正論議で自民党を左右分裂状態に追い込み、次の総選挙で自民が大きく議席を減らし、維新が野党第一党へと躍進したとき、自民党の改憲勢力と組むことで政権のチャンスが回ってくるからだ。
熊本県知事を務めた細川護煕氏は、1992年参院選で日本新党を立ち上げ、翌年の総選挙で自民党が分裂すると、自民党を割った反主流派と組んで細川連立内閣を誕生させた。国政進出から首相就任までわずか1年だった。
2025年に大阪万博が開催されるとき、日本に吉村総理が生まれているかもしれない。
※週刊ポスト2021年12月3日号