さらに、『ドラゴンボール』や『ワンピース』のような連続性の高い作品は、途中から見はじめてもらうのが難しく、「新規顧客をどうつかんでいくのか」という課題があります。実際、『ドラゴンボール』は、『ドラゴンボールZ』『ドランゴンボールGT』『ドラゴンボール改』『ドラゴンボール超』と、アニメオリジナルや再編集を交えて長期シリーズ化を実現させました。

 もちろん漫画連載が終了した『ドラゴンボール』と、連載中の『ONE PIECE』では続けていくことの難易度などに違いはありますが、それでもアニメーション制作や放送局にとって過去の経験が生きているのは間違いないでしょう。

「家族で見られるアニメ」の普遍性

 21世紀に入って以降、個人の趣味嗜好が多様化・細分化していく中、アニメだけでなく、映画、ドラマ、音楽、スポーツなどのエンタメコンテンツ全体で見ても、国民的作品と呼べるものは限りなく減りました。

 アニメというジャンルを見ても、かつてより好きな人と、そうでない人の温度差が大きくなっていただけに、国民的作品としての『ワンピース』の存在は希少。この作品があったからこそテレビアニメの灯が消えることなく、現在のアニメ『鬼滅の刃 無限列車編』、さらに来月スタートの『遊郭編』が地上波全国ネット放送につながったのではないでしょうか。

 フジテレビに話を戻すと、これまで同局が放送してきたヒットアニメは当然ながら『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』『ゲゲゲの鬼太郎』『ドラゴンボール』『ワンピース』などの長編アニメだけではありません。

『世界名作劇場』『タイムボカンシリーズ』『Dr.スランプ アラレちゃん』『うる星やつら』『タッチ』『北斗の拳』『めぞん一刻』『キテレツ大百科』『幽☆遊☆白書』『るろうに剣心』など昭和から平成中期にかけてさまざまな作品を放送しました。

 その大半はアニメ好きに向けたものに留まらず、たとえば『ワンピース』で漫画の残虐なシーンをカットしているように、安心して家族で見られる作品として放送しています。実際、現在の30代以上は「フジテレビのアニメを家族で見て育った」という人も多いでしょう。

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