一方、朝ドラで菅波先生の相手役・百音を演じたのは清原果耶さんでした。その女優オーラにちょっと自分を重ねられなかった視聴者も、こう言っては失礼だけれど清野菜名さん演じる明葉にはリアリティを感じてほっと一安心。
スッピンに近い薄化粧で髪ぼさぼさの寝起き顔、仕事に熱中する他はちょっとずぼらで部屋も雑然としている。細かいことは気にしないタイプでいちいち男性に裏声を出したりシナを作ったりしない……とくれば、仕事に忙しい女性たちのリアルにかなり近く、感情移入しやすい視聴者も多いのではないでしょうか。
百瀬を演じる坂口健太郎さん、そして明葉役の清野菜名さん共に配役の妙。
「試しにそのうるさい口、黙らせてみましょうか」と百瀬にささやかれキスしそうになったり、百瀬のネクタイぎゅっと引っ張ってキスとなれば少女漫画的王道路線を邁進しています。
胸キュンラブコメの「型」を活用しながら、しかし持続的効果的に使うには、常に点検や補修に気を配らねばならないはず。だから路線を維持することは、実はクリエイティブな行為とも言える。
TBS火曜日ラブコメのキャスティングに注目してみると……『逃げるは恥だが役に立つ』の新垣結衣×星野源、『恋はつづくよどこまでも』の上白石萌音× 佐藤健、『私の家政夫ナギサさん』の多部未華子×大森南朋、そして今回の清野菜名×坂口健太郎。
それぞれ独自テイストのパワフルな配役です。「胸キュン」を保ちつつも全然違うテイストのカップルによって、それぞれドラマ世界の味わいを出していく工夫は巧者であり評価されるべき点ではないでしょうか。