「家飲みを覚えた多くの人が“自分のペースで飲める=楽”という考えを持ったと思います。ダラダラと自宅で飲み、しかも家なら飲んでも終電で帰らなくてよく、費用を抑えてリラックスできるから、ますます習慣になります」
自粛中に家族の大切さを知ったのは関西在住の40代男性会社員だ。彼は、コロナ前は仕事関係のつきあいで毎晩飲み歩いていたが、家飲みになったら家族が晩酌につきあってくれるようになったという。その喜びは予想以上だった。妻が呆れた顔で言う。
「5才の娘がお酌してくれるので日頃の疲れが吹き飛ぶんですって。生ビールが楽しめるサーバーも買ったし、いまは自宅がビアガーデン状態ですよ」
彼のような人は多いという。塩見さんの指摘。
「ビールサーバーや本格志向の酒類、手軽な自炊セットなど、家飲み関連の商品が強化されて、家飲み志向が高まりました。相対的に繁華街の満足度が落ちたので、外飲みニーズが回復していません」
和田さんが続ける。
「コロナの影響で飲食店がデリバリーに人を取られて人手不足のため、オーダーの対応が遅くなるなどサービスの質が低下しています。一方、家飲みは待たされることもなく、コンビニや、ウーバーイーツも手軽に利用できるし、フラストレーションがたまらず飲めるのもいい点でしょう」
イラスト/黒木督之
※女性セブン2021年12月16日号