「墓じまいをしてバチが当たるなんてことはありませんから心配しないで」
「墓」は合祀でいい
〈お墓を継がないとバチがあたる〉
〈先祖代々の土地だからとても売れない〉
この世じまいがなかなか進まない大きな要因は、こんな迷信や因習に縛られた人間の心です。
日本では儒教や穢れ文化の影響からか死後の世界を信じない人でも、先祖に対する「畏怖」を持っています。「気にしなくて大丈夫ですよ」と伝えても、なかなか抵抗が強いのが実際です。
そうしたなかで、この世じまいを進めるには、この畏怖を解き放ち、地に足をつけて現実を見ていく必要があります。
墓じまいをしたらご先祖様に怒られる──と気にする人は多いでしょう。
でも墓に先祖はいません。墓や位牌は先祖と交信するためのアンテナのようなものであり、たましいは宿っていないのです。
だから、墓じまいをしたら先祖に悪影響が出るというのは迷信です。墓は単なるモノで、たましいとは関係ない。
それに「代々の墓」と言いますが、何百年も先を考えれば、いずれ日本には墓用の土地がなくなり、新たな墓が建てられなくなります。同時に少子化で墓を継ぐ人はどんどんいなくなり、無縁仏となって結局は処分されてしまうのがオチです。墓を守ることが心の重荷になるリスクも考えれば、墓への執着を断ち切って、早めに処分するのがいちばんです。
その上で、菩提寺や霊園などの管理者に供養を任せる「永代供養」にすれば、後々まで供養してもらえる。このやり方なら、「ご先祖様の供養は誰がするのか」という心配は無用です。
昨今の終活ブームで「自分のお墓を買ってしまった」という人もいるでしょうが、後々まで墓を維持するのは難しい。次の世代に迷惑をかけるくらいなら、後先を考えて自分の代で永代供養の合祀に切り替え、墓じまいをすべきです。その際、すでに自分で買ってしまったお墓は潔くあきらめましょう。