芸能

コント赤信号・小宮孝泰「亡き妻が残したレシピが悲しみを癒やしてくれる」

小宮孝泰氏は活躍を続ける

先立たれた妻を想い小宮孝泰氏は活躍を続ける

 妻に先立たれた人は、どのように悲しみを乗り越えていったのか──。長い人生の中では“その時”に備えておくことは重要だ。2012年に妻に先立たれた経験を持つお笑いタレント・小宮孝泰氏(65)に聞く。

 * * *
 コント赤信号の小宮孝泰氏は、2001年4月に妻の佳江さんからこう告げられた。

「落ち着いて聞いてね。“浸潤がん”と“非浸潤がん”というのがあるのね。浸潤がんというのは、がんの細胞が他にも増えていくがんのこと。非浸潤がんというのは、がんなんだけど、増えてはいかないがん。で、私は浸潤がんの乳がんなのね」

 関東ローカルの朝のテレビ番組のロケ中に沖縄で知り合った佳江さんと結婚したのが1991年のこと。10年後にがんが見つかり、それから12年間、夫婦で病と向き合った。

「最初にがんだと告げられた時は、その前にちょっと夫婦喧嘩をしていて、東京・初台のダイニングに呼ばれて喧嘩の続きがあるのかなと思っていたところに、がんを知らされました。その時点で彼女はがんに関して自分でずいぶんと調べていて、渡されたのが放射線科医の近藤誠先生の著作『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)だったんです。近藤先生を主治医にして、彼女は積極的な治療をしない選択をした。過剰な治療で体に傷をつけたり、代替医療で大きなお金を払ったりは最初から考えていませんでしたね」(小宮氏)

 近藤医師からのアドバイスもあり、「遠隔転移をしていない」「がん細胞がそれほど大きくなっていない」なら、毎年の検査を2年に1回にするといった方針で「がんの不安を常に意識しない」ように生活したという。

「6~7年経ってもがん細胞の大きさはそれほど変わっていませんでした。もしも遠隔転移をしたら、そこからは命の秒読みになってしまうけど、そうでなければ(がんを)忘れている時期が長い方が幸せだと考え、検査を2年に1回にしていました」(小宮氏)

 転機は2010年の春。腫瘍マーカーの検査で、がんの骨転移を疑わざるを得ない数値が出た。

「ショックでした。まだ、命の秒読みの段階ではないと思っていましたから。ちょうどその時、自分がプロデュースする大事な舞台があって、彼女に相談されたのに『今は舞台のことを考えたいんだ』というようなことを言ってしまったんです。彼女にはがっかりした顔をされて、先生からも『仕事も大事かもしれないけど、こんな大事なことをあなたが“後にして”というのはよくない』と注意されました」(小宮氏)

 その後、「覚悟をした」という小宮夫妻は、ホスピス探しや親友に打ち明けるなど最期に向けての準備を進めた。そして2012年10月31日、佳江さんは自宅で息を引き取った(享年42)。

「最後の1か月くらいは彼女が自分で探した在宅医療の先生に診てもらって、自宅で息を引き取りました。彼女は介護ベッド探しなど、全部自分で準備して逝ったけど、そのひとつとして僕が一人になっても大丈夫なように料理のレシピを残してくれました。僕も覚悟はできていたから、最後の1~2年は自分で料理をするようになっていて、今でも彼女が残したレシピで彼女の味を真似て作ったりもします。そういうことが悲しみを癒してくれているのかもしれません」(小宮氏)

関連記事

トピックス

4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
吉田鋼太郎と夫婦役を演じている浅田美代子(『あんぱん』公式HPより)
『あんぱん』くらばあ役を好演の浅田美代子、ドラマ『照子と瑠衣』W主演の風吹ジュン&夏木マリ…“カッコよくてかわいいおばあちゃん”の魅力
女性セブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
宗教学者の島田裕巳氏(本人提供)
宗教学者・島田裕巳氏が皇位継承問題に提言「愛子天皇を“中継ぎ”として悠仁さまにつなぐ柔軟な考えも必要だ」国民の関心が高まる効果も
週刊ポスト
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン