国内

ステージIVのママが遺した本に反響 多くの人の心を打った「家族愛」

青森市内の神社にお宮参り(2020年10月)

青森市内の神社にお宮参り(2020年10月)

 21才で大腸がんステージIV宣告、22才で結婚、23才で出産。「母である自分の姿を娘に知ってほしい」と、遠藤和さんは綴った日記を本にまとめていた。彼女の遺したまっすぐな言葉が、いま多くの読者の心を捉えている。

 2021年9月8日、約3年間の大腸がん闘病の末、亡くなった遠藤和(のどか)さん(享年24)。彼女が1才の娘のために綴った日記をまとめた『ママがもうこの世界にいなくても』が12月1日に上梓された(以下、《 》内は同書の引用)。

 それからわずか2週間ながら、大きな反響が編集部に寄せられている。

 和さんは、1997年青森県生まれ。2018年、21才で大腸がんステージIVの宣告を受けた。2019年末、22才でかねて交際を続けていた遠藤将一さん(30才)と結婚。2020年2月に、その結婚式の様子が『1億人の大質問!? 笑ってコラえて!』(日本テレビ系)の「結婚式の旅」コーナーで特集され、注目を集めた。

《2020年2月5日(水)笑コラで、結婚式がオンエアされた。
バイト先の食堂に20人くらいで集まって見たけど、テレビの反響すごい。
知り合いから、LINEが止まらない。
 インスタには、ものすごい数のコメント。フォロワーもどんどん増えて、DMもめっちゃくる。ゲストで出てたさっしーも、いいねくれた。すごすぎ。感動。
 応援してくれる方ばかりで、幸せものだ。
 たくさんの人の目にふれて、がんの治療法の情報が入ってくるといいな。同じように病気で苦しんでいる人のためにシェアしたい。》

「優しいお母さんになりたい」と幼い頃から願ってきた和さん。2020年1月に新しい命を授かった。ただし、出産までの道のりは険しかった。妊娠18週で、卵巣へのがん転移が判明。7月9日、27週で帝王切開での出産に臨んだ。幸い母子ともに無事。娘はわずか980gで、すぐにNICU(新生児集中治療室)に運ばれた。

 出産から2か月後、和さんは卵巣摘出手術を行った。娘は順調に成長し、2020年10月に退院。和さんは抗がん剤治療を続けながら、育児に励んだ。2021年5月末、「余命は数週間単位」と告げられても、闘病を諦めず、家族とともに前を向いていた。

《2021年5月31日(月)
 朝、娘にミルクをあげて、洗濯をして、掃除機もかけた。
 昼、テレワークで家にいた遠藤さんのために、ペペロンチーノに生卵を落としたパスタを作った。ぺぺ玉。ずっと、こういうことがしたかった。
 家族と同じ空間で過ごす。家事をする。娘をあやして、抱きしめる。
 些細なことだけど、ものすごく尊く感じる。
 いまの私は、腸が腫瘍で押しつぶされてしまったので、固形物は食べられない。24時間、点滴で栄養をとっている。痛みを抑えるために、麻薬を入れ続けているから、ぼんやりすることも多い。それでも、ただ生きてるだけでこんなに幸せ。
 一生点滴でも、車椅子でも、絶食でもいい。ずっと、家族と一緒にいたい。24年間でいまが一番しんどいけれど、一番幸せ。》

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン