ドリフと言えば、この場面とこの背景を思い浮かべるかたも多いだろう。ドラマのために当時のセットを再現。この収録を高木ブーは現場で見ていたという(写真/フジテレビ提供)

ドリフと言えば、この場面とこの背景を思い浮かべるかたも多いだろう。ドラマのために当時のセットを再現。この収録を高木ブーは現場で見ていたという(写真/フジテレビ提供)

仲:いかりや(長介)さんはぼくらに「言葉で笑わせる時には、順番を間違えると笑わないからね」とよく言っていたな。たとえば、音楽のコントで歌の合間に夫婦が痴話げんかをして、やれおやじがどうの、おふくろがどうのとやりあっても、掛け合いの順番がひとつでも狂うと笑いは起きないって。それにちょっとでもせりふの間がズレるとウケないぞって。コントには順番も間も大事なんだよね。

加:間って、その人が持っている体感でもありますし、ものすごく難しいですね。

松:ぼくは健康牛乳のコントを通じて、仲本さんの間の緩急を学びました。周囲を立てながらも、ここぞというタイミングでグイッと出てくる。仲本さんは事務所の大先輩で昔のお話もうかがっていたので、あまり積極的なスタンスじゃないのかなと思っていたんですが。

仲:積極的じゃないよ(笑い)。でも自分がやる番になったらさ。

松:やるしかないのかな、と。“ガツガツしないように、でもいざ出番が来たら……”という間は逃さないように意識しました。

仲:舞台でも他の誰かが中心になって何かをしている時には、消えていた方がいいと思っている。舞台にはいるけど、お客さんの目には入っていない方がいい。それでいて出番でふわっと視界へ飛び込んでくるからインパクトがある。せりふの説得力がある。で、自分の出番が終わったらまた目に付かないところへサッと引っ込む。それがぼくのやり方。

加:ドリフさんのコントはリズム感も勉強になります。すごく緻密に計算されていると感じますね。それでいて設定はわかりやすくて、いつ見てもゲラゲラ笑っちゃうんです。

仲:前もって段取りをつけて、徐々に笑いが大きくなるように考えて作っているからね。
高:いつまでも新鮮に、どんな人が見ても笑ってもらえるように。

仲:あと、ドリフはみんなズッコケうまいよな。音楽のリズム感があるからきっちりと転けて、ズッコケが派手に大きく見える。

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