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小室圭さんをめぐる騒動と「大衆化社会の進行」が示したもの

2021年は小室圭さんをめぐる騒動が注目を集めた(時事通信フォト)

2021年は小室圭さんをめぐる騒動が注目を集めた(時事通信フォト)

 インターネットの発達は、テレビや新聞を含めたマスメディアの在り方を大きく変えた。同時にそれは、社会とメディアの関係をも歪めつつある。評論家・呉智英氏、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏、文筆家・古谷経衡氏が語った。【全3回の第1回】

中川:2021年にもっともメディアで批判されたのは、間違いなく小室圭さんでしょう。

呉:1970年代頃まで、左翼は「天皇制打倒」を叫んでいましたが、50年経って、小室圭さん問題が出てきたら、右も左も想像もしなかった形で、天皇制が崩壊の危機を迎えている。

中川:小室さんがタイトルに入ったネットニュースはPV(ページビュー)がすごく取れるから、どんどん記事が量産されて、批判もエスカレートしていった。それに対して右派の人たちは擁護するかと思ったら、「あいつは皇室にふさわしくない」と言って、皇室を守るつもりで小室さんを叩いていて、左派も大喜びした。

古谷:私は、皇室に対する遠慮は今も一定程度は守られていると思います。眞子さんは批判できないから、その分、小室さんを徹底的に攻撃する。ネットの書き込みはともかく、メディアでは皇室そのものは批判しないよう一定の配慮はあったし、そこは揺るがないのではないでしょうか。

呉:私はこのまま行くと、今後は天皇皇后にもこのような批判の刃が向く可能性が出てきてしまうと思う。どうしてこうなったのかというと、やはり大衆化社会が進んだから。中川さんの本『炎上するバカさせるバカ』(小学館新書)を読んで面白かったのは、天皇がパレードで手を振りながら通過していくのを見て、女子高生が「めっちゃ天皇!」と大ウケしていたという。

中川:皇族も芸能人と同じ感覚で見ているんです。テレビでも、「小室さんがチョンマゲで日本に帰ってきた」とわざわざ映像を流して、世間にネタを提供する。だから、イデオロギーに関係なく、芸能人と同じ感覚で小室さんも叩く。

呉:それが大衆化社会ということだね。皇室に対する尊敬も、逆に批判の気持ちもない。

中川:小室さんと眞子さんをセットで“上級国民”と位置づけて、間接的に眞子さんも批判していたわけですね。だけど、あの二人は折れなかったんですよ。

古谷:そうそう。どちらかが謝っていたら、「間違いを認めた」とさらにエスカレートしたはずです。たとえば「五輪エンブレム」のパクリ問題では、一度謝ったあとも次から次へと別のネタが出てきて、収拾がつかなくなった。謝らないというのは、僕は炎上対応としては正しかったと思います。

中川:謝らなかったから、途中から「愛は大事だ」「守られるべきだ」と擁護派が出てきましたから。

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