矢印ロゴが印象的なアマゾンのコンテナが見える。アイルランドのロスレア港。2021年3月(AFP=時事)

矢印ロゴが印象的なアマゾンのコンテナが見える。アイルランドのロスレア港。2021年3月(AFP=時事)

コロナでも通販体制は完璧に近い

 日本は貿易での「買い負け」はもちろん、コンテナ船やコンテナの確保など国際物流で「取り負け」を続けている。あらゆるものが遅延し、品薄や価格高騰が続いている。日本は食料自給率が37%(カロリーベース)、67%(生産額ベース)と他国に食べさせてもらわなければならない国、かつ資源の限られた国である。そのような島国が物流をおろそかにする愚は『憂国の商社マンが明かす「日本、買い負け」の現実 肉も魚も油も豆も中国に流れる』『商社マンが明かす世界食料争奪戦の現場 日本がこのままでは「第二の敗戦」も』でこれまでも書いてきた。この日本のロジスティクス軽視は太平洋戦争の敗戦の一因ともなった。

 歴史は繰り返すのか――これまでの「金払えば誰かが運ぶだろう」という感覚は、激安国家日本にとって第二の敗戦を招きかねない事態に陥っている。別の大手ECサイトに携わる営業マンの談。

「アマゾンね、確かに凄いです。自分のところでコンテナも作ってます」

 平易に言うならアマゾンは「他者に頼らない」主義であり、その実現を目指している。もちろん多くの協力企業を使っているが、こと輸送に関する方向性としては「なんでも自分でやる」ことを目指している。ひと昔前に流行ったコストダウンだけが目当ての「なんちゃってアウトソーシング」の流れとは逆行した取り組みだ。

「貨物機を何十機も持っていて自社の専用空港まであります。だからコロナでも通販体制は完璧に近い。これ、本当に凄いことなんですよ」

 アマゾンは「アマゾン・エア」という自前の航空会社で貨物機を運航している。現在の運用はリース機が中心だが、2021年からデルタ航空やウエストジェット航空から実機を多数購入して整備している。ケンタッキー州には専用の貨物空港「アマゾン・エアハブ」があり、利益率の高い商品はこの自前の航空機で運んでいる。そのアマゾンの空港には東京ドームの2倍近くの広さとされる仕分センターも併設されている。

「私としてはコンテナが羨ましいですね。中国で大量に作ってます」

 コンテナは物流の要。あの何の変哲もない鉄の箱をいかにかき集められるかが貿易戦争の勝ち負けに繋がる。アマゾンはこの戦争のためにいち早くコンテナを自社生産、これまで中国で数万個は作ったと言われる。今後は情勢に合わせて世界中で作るだろう。他人のコンテナなんか当てにしないということか。それどころか自社の輸送システムの余り分で他社の輸送も引き受けている。旧来の国際輸送大手、FedExやDHLに全面的に頼ったりせず、それどころか競合相手になろうとしている。国内では周知の通り、ヤマト、佐川、日本郵便と購入者への配送を天秤に掛け続け、現在のアマゾンフレックスの構築に至る。その労働条件、働かせ方が気に入らない人も多いだろうが、組織としてのアマゾンの完成度は認めざるを得ない。

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