夏日でもマスク着用で外出が普通のことになった(イメージ、時事通信フォト)

夏日でもマスク着用で外出が普通のことになった(イメージ、時事通信フォト)

 販売サイトを確認すると、そこには確かに多くの「マスク姿」の女性の写真が掲載されていて、安いものでは数百円、高いものでは3千円ほどで販売されていた。吉岡さんが確認のために購入したという映像を見せてもらうと、女性は基本的にマスク姿なのだが、カメラのアングルや女性の姿勢によっては、顔がハッキリとわかるシーンが収録されているものもあった。それが、深刻な「人権侵害」にあたるというのだが、どういうことか。

たった一度、マスクをつけて出演で10万円以上

 取材を続けていくと、その被害に遭ったと訴える女性にたどり着いた。

「顔バレは絶対にしないと念押しされ、かなり迷ったのですが、学校もバイトもなく、お金もなかったので一度だけと思って出演を決めたんです」

 埼玉県内在住のアルバイト・Kさん(23歳)のSNSに「高額なバイトをしないか」というダイレクトメール(DM)が届いたのは、2021年2月のことだった。地方出身のKさんは一人暮らしをしていたが、コロナの影響で学校が長く休校になり、生活費の大半を占めていた飲食店でのアルバイト代も、時短営業などを理由に体よく辞めさせられたことでゼロに。幾許かの預貯金はあったものの、生活に大きな不安を抱えていた。

「SNSにお金がなくて辛いと書き込んでいたら、投資しないかとか風俗で働かないかとか、勧誘のDMがたくさん来るんです。普段は無視しますが、偶然何となく見ていた時に『マスク着用でのビデオ出演』という文字が目に入りました」(Kさん)

 スカウトを自称するアカウントから送られてきたDMには「たった一度、マスクをつけて出演するだけで10万円以上を支払う」という条件が記されていた。そういった映像への出演経験はおろか、水商売の経験もなかったKさんだから、当初は「怖いな」と思い見ないようにしていたが、学校も再開されず新たなバイトも決まらず、話だけでも聞いてみようと返信してしまったのだった。

「お金がなくなるのが怖かったし、私みたいな人がたくさんいると言われて、ちょっと安心したのかもしれません。コロナだし不景気だし、仕方ないと自分に言い聞かせながら、相手に指定されたマンションに行きました」(Kさん)

 詳細は省くが、部屋に入るなり1人の男に簡単な自己紹介を求められた。「マスクで顔はわからない」と念押しをした男は、すぐに撮影を開始。男は、撮影も出演も、映像の編集も全て1人で行なっていて「趣味みたいなもの」と話していたというが、撮影中に気になることがあったと振り返る。

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