2月26日、ウクライナからポーランドへと避難する母と子供たち、愛犬も(dpa/時事通信フォト)

2月26日、ウクライナからポーランドへと避難する母と子供たち、愛犬も(dpa/時事通信フォト)

友だちリストから消えろ!

 もちろん、侵攻したロシアや指導者のプーチン大統領に対する怨嗟も書き込まれている。それまで、このコミュニティでそんなものは見たことがない。論争はあっても最後はペキニーズが解決してきた、そんな場所だ。

「ウクライナと共に。プーチンはヒトラー」

 ロシアのリャザン出身のペキニーズ飼いの女性はオランダから戦争反対、反プーチンを表明していた。ロシア首脳はともかく、ロシア人の多くも戦争なんかしたくない。プーチンを選んだ云々も不正まみれの選挙の結果である。別の女性は、

「ウクライナ戦争反対デモの最中、ロシアのいくつかの都市で木曜日に1400人近くが逮捕された。世界文明の危機、サイコパシーの独裁者プーチン=スターリンに届け」

 と悪魔のスタンプつきで批判していた。この時点から事態はさらにすすみ、ロシアの人権団体の発表によれば2月27日までに5000人超が拘束されたという。またペキニーズのコミュニティなので、ニジニ・ノヴゴロド在住のロシア人は「ペキニーズは政治の外だ! 世界中にPekingese for the world!!!!!」と書いている。それぞれに立場と考え方がある。ただ彼の書き込みももっともな部分があり、実際、平和だったはずのペキニーズコミュニティで対立者の排除を訴え始めた愛好家が出始めた。ウクライナ西部、リヴィウのペキニーズ愛好家は、

「私の国で戦争が起きた! ロシア軍がウクライナのすべての都市を攻撃している! 子供を苦しめる平和軍たち! 私の友達リストに載っていて、ウクライナに対する攻撃性を支持している人全員に訴えます。リストから消えろ! 共通点は持てない!」

 と訴えた。ついにロシアとウクライナ、同じペキニーズ飼いとしてつながっていた者同士も対立、批難合戦を始めた。かつては互いの愛犬の写真を見せあって「ミーラヤ」(ロシア語で「かわいい」)、「ジャークユ」(ウクライナ語で「ありがとう」)と交わしていたはずなのに。
 
「ロシアと真実のために! 偽の挑発を支持するウクライナ人やその他の国の連中を友達から削除しましょう! キエフ当局による嘘と偽物と文字通りのゾンビがいる!」

 ロシア南部、カスピ海に面したキャビアの産地としても知られるアストラハン在住、ペキニーズブリーダーのロシア人男性もまたこう訴え始めた。これに対してミンスク在住のペキニーズ愛好家のロシア人女性が「ロシアに乾杯!」とスタンプを送り、ウラル地方の首都でありロシア最後の皇帝ニコライ2世一家が銃殺された場所でもあるエカテリンブルクに住むペキニーズ飼いのロシア人女性もまた「全面的にあなたを支持します!!! ロシアとその大統領(プーチン)を誇りに思う!!!」とロシア人同士で称賛しあった。カザフスタンのテミルタウに住むロシア人愛犬家に至っては「プーチンは平和的に紛争を解決する機会を与えたが、ゼレンスキーはそれを無視した」とウクライナ大統領が悪いと批難している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン