中原さんは2019年に日本人女性で初めて「世界記憶力マスター」の国家資格を取得
「パズルは続けていれば高齢者でも成績が上がります。かつては認知機能も高まっているといわれてきましたが、それはパズルを解くスキルが向上しただけであって、ほかの認知機能テストをすると変化がなかったという研究結果もある。それよりも、料理の手順を考えたり、運動したり、食事をおいしいと感じながら食べるなど、明るい気持ちで日常生活を行う方が脳への刺激になる。机に向かってパズルだけやっていても、脳トレとしては物足りないのです」
中原さんも、記憶力を究めるためにまず見直したのが生活習慣だったという。
「以前はコンビニ食やラーメンなどを自由に食べていましたが、魚と野菜中心の食事に変えました。自分の脳にとって最適な栄養や量、食べる順番を考え、私は1日2食にし、できるだけ魚を食べるようにしています。
運動も、ほぼ毎日1時間程度の散歩をします。朝日を浴びながら歩くと、脳内のホルモンが分泌され脳のスイッチが入ると同時に、瞑想以上のリラックス効果を感じる。さらに、サウナやプール、筋トレも行っています」(中原さん)
現代人の必須アイテムであるスマホやパソコンも、記憶力に大きく影響する。
「スマホやパソコンは、脳を酷使して疲労がたまりやすいのです。スマホの使いすぎで脳の過労状態が続くと、認知症に似て、働きの低下が見られることもあります。本来、脳過労はよく眠れば解消できるはずですが、寝る直前までスマホをいじっていると睡眠の質が低下し、起きても回復しきらないことになります」(枝川さん)
記憶のプロである中原さんの睡眠ルールはこうだ。
「記憶力の成績や数値と照らし合わせた結果、私は毎日8時間寝ています。睡眠の質を高めるため、寝る時間に近づくにつれ、室内の光をだんだん暗くしています。寝る前にニュースを見ると心がざわついて睡眠の質に影響するため、寝る1〜2時間前からスマホもテレビも見ない。『今日もいい一日だったな』と、ハッピーな気持ちで眠ることを大切にしています」(中原さん)
質のいい睡眠によって、記憶しやすい脳をつくることが大切なのだ。
※女性セブン2022年3月17日号