そのうえで、今年のセレクションに際しての取材で強調していたのが素振りの重要性だった。
「これはジュニア全体に言えることだが、素振りが足りないような気がするね。早くうまくなりたくてボールを打って結果を出したいんだろうな。もっともっと素振りをしたほうが本当の意味の体に力がつくということを教えてやらないといけないよね」
ジャンボアカデミーのセレクションでは、ドライバー、アイアン、ウエッジを打たせたあとに、ジャンボ特製の先に羽がついた素振り棒を振らせる。重さや抵抗が異なる3種類があり、それをどう振るかで潜在能力を見るという。
「飛ばしのパワーは下半身からくる。大きな筋肉から小さな筋肉に移っていくが、大きな筋肉、つまり下半身を鍛えないと本物の振りはできない。無理して振るのと、下半身を使ったパワフルなスイングとでは飛びが違う」というのがジャンボ尾崎の持論で、その筋力を鍛えるのが素振りだとされる。
今回、西郷は沖縄入りする直前までジャンボ邸でこの素振り棒でスイングを繰り返したという。沖縄にはジャンボからこのオフにプレゼントされたヘッドスピードを上げるための軽い素振り棒を持ち込み、師匠の考えの正しさを実証したかたちだ。
西郷は2001年生まれ。1998年生まれの黄金世代、2000年生まれのミレニアム世代のさらに1学年下の新世紀世代だ。同学年には全米女子オープンに優勝した笹生、昨年のバンテリンレディースで優勝した山下美夢有がいる。ジャンボ門下生では2002年生まれの佐久間朱莉、2003年生まれの小林夢果がプロテストに合格している。今シーズンはどの世代を中心にツアーが盛り上がるのだろうか。