AGA治療では頭皮や毛の状態を細かくチェックすることが大切(写真は峯岸医師とN)
頭頂部の拡大写真
「気付き」から2年が勝負
ちょうど薬がなくなったタイミングでクリニックを再訪。治療効果をチェックしてもらう。
「順調ですね。細い毛が減って、密度も高くなっています。最初の半年間はグーッと生えるんです。それから2~4年は生えていきますが、それ以降は現状維持に転換します。とはいえ、年齢を重ねていくわけですから、現状維持は十分に効果があると言えます」
実はこの時点でけっこう満足している自分がいたのだが、ここで治療をやめるとまた徐々に元の薄毛に戻っていってしまうらしい。せっかく生えてきてくれたのに、またサヨナラするのは寂しすぎる。継続して治療することを選択した。
ちなみに今は、薬剤以外にも様々な治療方法が開発されているという。
「頭皮に毛根を刺激する薬を注入する療法があります。注射なので痛みを伴いますし、学会でもあまり推奨はされていません。他には、アデランスなどが開発している赤色LEDを当てる治療法もあります。エビデンスがあるとしてこちらは学会でも推奨されている方法です。かつてヘルメット型が30万円ほどしましたが、シート型のものが開発されて7万円ほどで入手できます」
今後、さらなる効果的な新治療が開発されるのかは“カミのみぞ知る”といったところか。
現在、治療開始から5か月が経過した。写真を見てもらえばお分かりの通り、順調に髪は増えている。薄毛が解消されつつあることで、最近は体も心もなんだか軽い。
「AGA治療は、早めに始めたほうが効果は高い。AGAが始まって5年を超えると頭皮がやせてしまい、治りにくくなります。逆に2年以内に治療を始めた人は治療成績もいい。実は周囲が“あの人の髪が薄くなったと気付く時には、既に3分の1以下に毛が減っていると言われます。つまり髪の量が半分になったくらいでは他人は気付かないわけです」
あの日の違和感は福音だった。ベストなタイミングで治療を開始できたわけだから。たかが髪の毛、されど髪の毛。今はただ、戻ってきてくれた喜びを噛みしめたい。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号