1日1錠の飲み薬と塗り薬
まずは簡単な問診から。いつ頃から薄くなったか、すでに行なっている治療や投薬はあるかなどを聞かれる。痛風持ちなので、血中の尿酸を低下させる薬を飲んでいることを正直に伝えた。
次に頭皮の状態を診てもらう。といっても、歯科治療台のような椅子に座り、リラックスして目を閉じているだけ。先生が拡大カメラで頭頂部や生え際など頭髪や頭皮の状況をくまなくチェックしてくれる。頭頂部なんて普段は人に見せないから、なんだか恥ずかしい。
峯岸医師によると、AGA以外の原因で薄毛になっている人も少なからずいるそうで、治療前に見分けることが欠かせないという。
「AGAではないかと悩んで来院する人のうち、脂漏性皮膚炎という頭皮の炎症によって薄毛になっている人が2割程度います。それ以外に甲状腺疾患、円形脱毛症の人などもいますが、それらは別の治療が必要になってくる。高血圧や脂質異常症の薬が悪さをしている場合もありますね。中には無意識に髪をむしっている人もいて、これらは拡大して髪と頭皮を見ることで判別できます」
診てもらった結果、頭皮には異常がなくAGAで間違いないだろうとのこと。早い人は20代から症状が出る場合もあるそうだ。拡大写真を見ながら峯岸医師が解説してくれる。
「太い毛に交じって細い毛がけっこう見えるでしょう。これはこのまま抜けてしまう弱い毛です。この細い毛の割合が全体の20%を超えてくるとAGAといえます。今は治療で改善することが多いですから、落ち込む必要はありませんよ」
先生の言葉に少し勇気が湧いてきた。フサフサの日々よ、カムバック。
さて、ここからが気になる治療についてだ。
「治療方法は主に薬です。『ザガーロ』という飲み薬を1日1回1錠飲んでください。AGAは睾丸でつくられた男性ホルモンが、皮脂腺内の還元酵素によってDHTという脱毛に関与するホルモンに変換されて起きます。ザガーロは還元酵素をブロックすることで、DHTがつくられるのを抑制し、脱毛を防ごうという薬です」