スポーツ

羽生結弦 スケート連盟の“鍵山推し”への胸中と、故郷・仙台への恩返し

2018年8月、カナダ・トロントで母親と鍼灸クリニックに向かう羽生

北京五輪銀の鍵山選手は羽生選手に励まされたことも(写真は2018年8月、カナダ・トロントで母親と鍼灸クリニックに向かっていた羽生選手)

 中国・北京で開催された冬季五輪が閉幕し、羽生結弦(27才)が帰国してから半月が経った。3月21日から始まる「世界選手権」を右足関節の捻挫を理由に欠場することを決めた彼は、しばらく休養を選ぶと思われたが──。

 2連覇を達成した五輪と比べ、羽生が世界選手権と相性が悪いのは事実だ。2014年と2017年に優勝しているが、2015年、2016年は連続して2位。2018年はけがで欠場し、2019年にはネイサン・チェンに敗れて2位。2020年はコロナ拡大の影響で中止になった。

 そして迎えた前回の2021年のストックホルム大会。羽生はフリーでのジャンプに精彩を欠き、3連覇を果たしたチェンだけでなく、鍵山優真(18才)の後塵も拝して銅メダルに終わっている。フィギュアスケート関係者が明かす。

「実は2021年の世界選手権では、“日本スケート連盟は鍵山選手ばかりに力を入れている”と不服を漏らすフィギュア関係者もいました。それほど2人に対する連盟の姿勢には差があったように思います」

 背景には「羽生後のスター選手」を育てなければならないという、スケート連盟の焦りがあるという。

「連盟の大きな収入源は、テレビの放映権料とスポンサー料ですが、どちらも羽生選手に頼らざるを得ない状況が続いてきた。そのため、もし“ドル箱”の羽生選手が引退してしまったら大変なことになると、連盟は次のスターを見つけるのに躍起になっていた。そこで目をつけたのが、当時17才の鍵山選手だった」(別のフィギュアスケート関係者)

 羽生の周囲では、「世代交代」とばかりに鍵山にスポットを当てる連盟への疑念や不満の声が上がった。だが羽生本人はその世代交代を歓迎していた節があったという。

「周囲の声とは裏腹に、羽生選手自身は、そろそろ後輩たちにスポットが当たってほしいと願っていました。実際に彼は折に触れて後輩たちを鼓舞してきましたからね」(前出・別のフィギュアスケート関係者)

 象徴的な会見がある。2020年の全日本選手権後、翌春の世界選手権代表を発表する記者会見の場だった。

「初のシニアの国際大会への出場が世界選手権という大舞台になったことに、鍵山選手は『自分がここにいていいんだろうかと最初は思った』『不安な気持ちがたくさんある』などと弱気な発言をしていました。その姿を見た羽生選手は『自分の気持ちに嘘をつくな』と声をかけ、激励したのです」(前出・別のフィギュアスケート関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
世界的な人気を誇るシンガー・d4vd(20)(Instagramより)
「行方不明の10代少女のバラバラ遺体が袋詰めに」世界的人気歌手・d4vdが所有する高級車のトランクに遺棄《お揃いのタトゥー「 Shhh…」で発覚した2人の共通点》
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
ラーメン店の厨房は暑い(イメージ)
《「汗を落とすな」「清潔感がない」》猛暑で増えた「汗クレーム」 熱湯で麺を茹で上げるラーメン店やエアコンが使えないエアコン取り付け工事にも
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン