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東京で働く韓国人の若者「大統領選に興味はない」その背景

ロシアのウクライナ侵攻に抗議する韓国・ソウルの市民たち(AA/時事通信フォト)

ロシアのウクライナ侵攻に抗議する韓国・ソウルの市民たち(AA/時事通信フォト)

 永世中立国のように主義主張で多面外交をするなら損得含め自己責任だろうし、その覚悟を他人がとやかくいうことではない。国民のコンセンサスもおおよそとれているのだろう。しかし今回の韓国はロシアで金儲けを続けたい、というのが露骨であり、これらはすべて大統領も含めたコンデ=老害のせいだと彼は話す。目上は絶対の韓国社会だが、近年はこうした上の世代への反発が激しい。

「韓国が信用されないのも若い人に仕事がないのもすべて連中のせいです。でも国を変えるより外に出たほうがいいですから」

 大統領選も興味はないと語る。

「どちらを選んでもコンデですよ」

 選挙については本旨ではないのであえて聞かなかったが、どちらを選んでも老人であることは確か。ロシアのウクライナへの侵略という暴挙に対して多くの国が抗議の声を上げているのに、いつもの威勢はどこへやらの韓国だが、遅れて制裁に追従して信用を取り戻せるかは厳しいところ、端緒の損得勘定が取り返しのつかない外交の失策となってしまった。

「ウクライナには頑張ってほしいです。ウクライナが頑張るほど韓国政府も立場がない。ウクライナが勝てば、ロシアも負け、韓国も負けです」

 もちろん韓国は制裁に参加している。しかし彼によればどっちつかずで遅れただけでなく、実際はロシアでいまも稼ぐ韓国の財閥はロシア側であり、プーチンの尻尾だという。同じく漁夫の利を狙っている中国の真似をしているのだろうが、韓国はそこまでの大国ではないのに、なぜか「自分たちは大中国と同じ」と思い込む悪い癖が旧世代にある。

「若者は違うのに、それが政治に届かない。多くはウクライナを応援しています」

 確かに、ソウルでは多くの市民が若者を中心にウクライナ支持、ロシア制裁を叫んだが、韓国政府は曖昧な態度を取り続けた。若者はアップデートしているのに。

「それがコンデです。アンティークな連中です。それで一流国になりたいとか恥ずかしい」

 そういえば韓国は「一流国」になりたいと常々言っていた。「先進国」と同義のようだが、どちらかというと「列強」への仲間入りこそ一流国と勘違いしているフシがある。韓国政府、財閥ともに高齢者が牛耳る韓国、彼の言うアンティーク、骨董品のような感覚で現代の外交を実践すれば失敗は目に見えている。「老害」に関しては日本もあまり他国のことは言えないのだが、今回の日本政府の対応はベストだったと個人的には思う。また日本企業も勇気を示したと思う。短期的には損をするかもしれないが、日本という国の、企業の信用は守られた。

 目先の稼ぎに走れば国も、企業も国際的な信用を失う。今回の韓国の失態を反面教師に、これからも日本は一貫してロシアの暴虐への批難を続け、ウクライナの正義に寄り添うべきだ。一流国とは、国の大小や貧富だけではない。態度で示さない者は信用されない。

 韓国は8日、ようやくアメリカから対ロシア制裁参加に対する感謝の書簡を頂戴した。同盟国ではドンジリである。アメリカに評価されたからどうこう、でもないが恥ずかしい。

「コンデめ」という彼の嘆きが聞こえてきそうだ。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。

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