ライフ

「人間とAIが二人三脚で小説執筆」とは 若き天才プログラマーが解説

文章を書くためのAI「AIのべりすと」を一人で作成したゲームクリエイターのStaさん

文章を書くためのAI「AIのべりすと」を一人で作成したゲームクリエイターのStaさん

 先月、日経「星新一賞」(日本経済新聞社主催)に、初めてAI(人工知能)を使って執筆された小説が入選し、話題を集めた。AIが進化し、我々の生活やビジネスに浸透しつつあるなかで、文章を書くために作られたAIも誕生している。その一つ、「AIのべりすと」を作成したのは、ゲームクリエイターのSta(すた)さん。小学生で不登校になるも9歳で200本のゲームを作成。「若き天才」「伝説的な不登校小学生」として雑誌に取り上げられたこともある(『新潮45』)。Staさんが理想とするのは「友達」のようなAIだという。「AIのべりすと」を使った文学賞の開催を機に、お話を聞いた。(前・後編でお届けします)

 * * *

あなたの文章は文豪調? ネットニュース風? 人間の無意識を見せるAI

「AIのべりすと」を起動する。人間が文章を数行書くと、AIが、続きの文章を数行書いてくれる。このAIには様々なオプションが用意されており、設定によって、AIの文章はがらりと変わる。たとえば「文章スタイル」には、なるべく文体をコピーする「ゴーストライター」、小説らしい装飾のある文を書く「オルタナv2」、話がそれにくい「スローペース」などの選択肢がある。これらは基本設定に過ぎないが、まず分かるのは、執筆は人間とAIの共同作業だということだ。

「『AIのべりすと』のAIは、人間とAIが二人三脚で書くものである、という建て付けになっています。短編であれば、AIだけで、ゼロから起承転結のある面白い作品が書けるようにできていますが、基本的には、直前に書かれた文章を参考にして文章を書いていくという使い方を想定しています。その人の文章が文豪調だと、AIもそういう方向に引っ張られますし、ツイッターに見られるような口調で書くと、ネットニュースっぽくなったりするんです」(Staさん、以下「」内同)

 小説を書くAIというと、AIが自分勝手に書くようなイメージを抱く人がいるかもしれない。だが、実態はむしろ逆で、人間にかなり合わせてくれるのがAIだと、Staさんは言う。

「意識していなくても、年齢や職業といった属性や特性によって、人が使う言葉には違いがあります。10代の女性の文章と、50代の男性の文章はやっぱり違うわけで、AIはそういった人間の無意識が出るようなところがあります」

 文庫本178万冊分に相当するコーパス(データベース)をAIに読み込ませ、訓練することで、この、“人間の鏡”のようなAIを実現した。コーパスにはGoogleが提供しているコーパスや、Common Crawlという団体が公開しているネット上の文章が含まれ、それらからスパムや過剰な広告を取り除くなどし、汎用性の高いものを目指した。

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン