2012年、竹島に上陸した李氏(写真/EPA=時事)

2012年、竹島に上陸した李氏(写真/EPA=時事)

アメリカを利用して譲歩を迫る

 大統領選後、尹氏は日米韓を軸とする安全保障を打ち出した。しかし、これも言葉通り受け取るのは早計だという。元朝日新聞社ソウル特派員の前川惠司氏が語る。

「尹氏は日米韓と言っていますが、韓国があくまで重要視しているのは同盟があるアメリカとの関係です。

 アメリカを利用して日本から様々な譲歩を引き出すような根回しをする可能性があります。具体的には元徴用工に対する賠償金の問題などで、韓国側の主張を認めるようアメリカが日本側に求めることが考えられる。

 日本では保守政権の誕生を歓迎する声が多いですが、反日反米で孤立した文政権よりも尹政権のほうが、日本に不利益をもたらす恐れがあります」

 当選後の会見で日韓関係について問われた尹氏は、「重要なのは“韓米”両国共通の未来の利益を……」と言い間違えて話題となった。日韓よりも米韓を優先する本音が、思いがけず漏れたのかもしれない。

 新政権の発足に向けて日本に必要なのは、先手を打って主導権を握ることにある。前出の辺氏が語る。

「大切なのは、協調しやすいメッセージを尹氏が発信しているうちに、日本側が信頼関係を構築することです。ギブアンドテイクで交渉できるカードを並べたうえで意思疎通を図り、尹氏を反日にさせない意思と能力を示すことが求められます」

 後手に回るほど日本の国益が損なわれる。外交通を自称する岸田首相の手腕が問われる。

※週刊ポスト2022年4月1日号

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