「横綱」と書いても、「白鵬」とは書けない
館内ではマスク着用が義務付けられ、飲食は禁止されている。そのため大阪の業者が運営する館内の売店では応援タオルなどの相撲グッズが中心に並べられている。新型コロナウイルスが感染拡大する前は、2階と3階の階段横、支度部屋前の6か所に売店があり、中入りや打ち出し後に相撲関連グッズを求めて人だかりができていたが、3年ぶりに有観客で開催された春場所では公式グッズ売店ができたことで人の流れが大きく変わっていた。
「支度部屋前の売店は閉鎖されているが、あとの4か所の売店も以前と比べて商品も少なく閑散としている。置いてある商品は相撲饅頭や相撲せんべいといったラインナップだが、力士の肖像権を持つ相撲協会の公式グッズとは勝負にならない」(製造業者関係者)
公式グッズ売店に置かれている「横綱北の富士カレー」はパッケージに北の富士の土俵入りのカラー写真が使われ、エプロンを着けた近影も使われている。販売者は公益財団法人日本相撲協会となっている。
一方、件の“白鵬のカレー”は公式グッズ売店ではない売り場に置かれている商品のひとつだった。箱には白鵬とわかる力士の土俵入りのイラストが印刷されているが、商品名は「銀座・鵬 まかないカレー」とあり、どこにも白鵬の四股名が書かれていない。
パッケージ裏の商品説明でも〈横綱の強さの源となった「ちゃんこ鍋」の生みの親でもある【元力士】の店主が銀座に店を構えました。相撲部屋の本物の味と出会える店、「鵬」。そんな「鵬」の店主自ら徹底的に監修、再現したのは横綱の隠れたパワーの源、相撲部屋の本物の【まかないカレー】です〉となっており、〈横綱〉や〈相撲部屋〉と書かれているが、白鵬、宮城野部屋とは書かれていないし、白鵬の写真も使われていない。肖像権が相撲協会にあるなど複雑なルールのため、このようなパッケージや商品名が限界ということなのだろうか。
歴代1位の優勝回数45回を誇り、引退後も人気がある元横綱・白鵬の間垣親方だが、相撲協会も特別扱いはしないようだ。