ライフ

「それ、差別発言です」あらためて知っておきたいジェンダー表現の今

昨年6月、LGBT法案成立を求めて行われたデモ(AFP=時事)

昨年6月、LGBT法案成立を求めて行われたデモ(AFP=時事)

 昨年2月、SNSを沸かせたあの発言を覚えているだろうか。「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」「(組織委員会の女性は)みんなわきまえておられる」。東京五輪・パラリンピックの組織委・森喜朗前会長の発言は、大会が掲げたビジョン「多様性と調和」を骨抜きにした。怒りと抗議の声がツイッターに溢れ、ハッシュタグ「#わきまえない女」はトレンド入り。森氏は辞任に追い込まれた。

 あれから1年、私たちのジェンダー平等意識はアップデートできているだろうか? 男性中心の社会構造は未だ変わらず、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」では日本は今や156か国中120位(2021年)。ジェンダー平等には程遠いのが実情だ。

 世界から周回遅れのジェンダー観は、メディアにたびたび登場する。「美しすぎる市議」などことさら容姿に注目した表現や、「ホモ」「レズ」などLGBTなど性的少数者への差別や偏見を助長するような言葉で、当事者を傷つける二次加害につながったものもある。

「配慮のない表現が、社会の無意識の偏見につながっていないか」。強い危機感を抱いた現役記者らが、自責の念を込めて手引書作りに取り組み、この3月に完成したばかりなのが『失敗しないためのジェンダー表現ガイドブック』(新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム著)だ。

外見を褒めると差別?

 ガイドブックでは、配慮に欠いたジェンダー表現を多くの事例から紐解いている。外見に基づく差別「ルッキズム」(外見に基づく差別)のケースから見ていこう。

「日本選手権を4連覇し、日本代表として実績を重ねても、なお容姿ばかり話題にされる。悲しかったし、悔しかったし、はがゆかった」

 カーリング元日本代表の選手は、朝日新聞のインタビューにそう答えている。「美人選手」「イケメン社長」など、容姿に注目した記事は多くのメディアに散見されるが、批判の対象となるという。

「美しいと褒めているのに、なんで差別なの?」──そんな声も聞こえてきそうだが、競技や業務とは異なる見た目ばかりに注目することは、相手を不快にさせかねない。前出のガイドブックは、「容姿での評価は、実績を軽視することとも表裏の関係にある」と指摘している。

 ルッキズムの典型例として挙げられているのが、2021年10月の全国市長会長を務める福島県相馬市長の発言だ。連合の新会長となった芳野友子氏について「今度の美人会長も楽しみにしている」と言及し、批判を受けて謝罪した。芳野氏は「容姿に触れることは、今の世の中で許されない」と話した。

 たとえ褒める文脈だとしても、それって必要? 取り上げる前に立ち止まって、相手の立場に立って考えることが大切だ。

関連記事

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン