スポーツ

巨人・大勢はいち早く台頭 新人投手をクローザー起用する合理的な理由

クローザーとして巨人のスタートダッシュを支えるドラフト1位ルーキー・大勢(時事通信フォト)

クローザーとして巨人のスタートダッシュを支えるドラフト1位ルーキー・大勢(時事通信フォト)

 巨人のドラフト1位・大勢が新人で史上初となる開幕から2試合連続セーブを挙げ、3月29日のヤクルト戦で早くも3セーブ目を記録。最速158キロの直球とフォークを武器に4試合で3セーブとチームのスタートダッシュを支えている。プロ野球担当記者が話す。

「巨人はここ数年、ドラフト上位の投手が台頭できず、次世代の投手陣に不安がありました。しかし、今年は開幕2戦目に2020年2位の山崎伊織、3戦目に昨年3位の赤星優志が先発し、クオリティースタートという結果を残した。まだ始まったばかりで、1年持つかはわかりませんが、例年より若手に期待を持てる年になっています」(以下同)

 原辰徳監督は昨年ビエイラ、一昨年はデラロサと外国人にクローザーを任せてきたが、今年は大勢を指名した。

「順当に行けばビエイラでしたが、オープン戦の調子を見て大勢にした。先発で行ったほうがいいという意見もありましたが、真っ直ぐの速さと落ちる球という武器を備えている大勢は抑え向きと判断したのでしょう。そういう資質があるなら、新人は先発よりもリリーフに回したほうがいいという考え方は合理的です」

 昨年、栗林良吏(広島)が新人最多タイとなる37セーブをマーク。古くは新人豊作の1990年に与田剛(中日)、佐々岡真司(広島)が抑えを務め、潮崎哲也(西武)も鹿取義隆につなぐ中継ぎとして役割を果たした。DeNAは2014年に三上朋也が21セーブ、2015年に山崎康晃が37セーブと2年連続でルーキーがクローザーを任された。抑えでなくても、中日の岩瀬仁紀やロッテの益田直也のように1年目からリリーフでフル回転してチームに貢献する投手は多数いる。

「まず、1年目は相手チームがデータをほとんど持っていない。しかも、抑えで終盤の1イニングだけとなれば、2~3か月で一度も対戦しない選手もいるし、打席数も多くならない。ようやくデータも揃ってきて、打者も慣れてきた頃には後半戦になっている。新人は1年のペースを考えずに、がむしゃらに向かってくるし、若いので疲れも出づらいし、回復力もある。クローザーを任せるには向いている。先発となれば、1試合で同じ打者と3回前後対戦することになり、長い回を投げればクセも見抜かれやすくなりますからね」

昨季は0勝1敗37セーブ、防御率0.86という驚異的な記録を残した広島・栗林良吏(時事通信フォト)

昨季は0勝1敗37セーブ、防御率0.86という驚異的な記録を残した広島・栗林良吏(時事通信フォト)

 昨年の栗林は6月13日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で初黒星を喫するまで、22試合連続無失点を続けた。終盤はランナーを出す場面も増えたが、0勝1敗37セーブ、防御率0.86という驚異的な数字でシーズンを終えた。

「大勢も相手打者が慣れるまで時間が掛かる。しかも、今は交流戦があるので、セ・リーグの打者が見慣れてくるのは後半戦でしょう。まだシーズン序盤ですが、故障でもしない限り、今季の巨人のクローザーは大勢で行くのではないでしょうか」

 巨人の新人最多セーブは、長嶋茂雄監督時代の1978年の角三男の7セーブ。このままいけばその記録を早々と塗り替えるのも確実な情勢だ。次は栗林と山崎の持つ37セーブ記録にどこまで迫れるか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
「歴代でいちばん好きな“木村拓哉が演じた職業”」ランキング ファン、ドラマウォッチャーが選ぶ1位は『HERO』の「検事」
「歴代でいちばん好きな“木村拓哉が演じた職業”」ランキング ファン、ドラマウォッチャーが選ぶ1位は『HERO』の「検事」
女性セブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン