C男:最新治療として注目されている「ダヴィンチ手術」も個人的には微妙だなと思いますね。“お腹に穴をあけるだけで済む腹腔鏡手術をロボットの手助けのもと行うから、複雑で繊細な手術が可能”という触れ込みですが、医師の側が楽になるという意味合いが強い。患者さんにとって“魔法の杖”ではない。
A夫:繊細な手術といえば、最近スマホの使いすぎで視力が落ちてしまい、執刀にも支障をきたしそうなんです。思い切ってレーシック手術を受けようか迷っているのですが、眼科医の立場からすると、ああいった手術はどうですか?
D太郎:A夫先生は50代ですよね? 実は40才を超えている人にはまったくおすすめできません。レーシックをはじめとした近視矯正手術は、受けるべき人がかなり限られます。近視の人が手術を受ければ若いうちは遠くも近くもしっかり見えますが、老眼になれば手元を見るときに老眼鏡が要るようになる。
つまり、高いお金を払ってメスを入れても、遠近で眼鏡が入れ替わるだけ。だから40才を超えてのレーシックはメリットがほぼないんです。そればかりか、現代人はスマホなど手元を見ることが多いため、ピント調整機能に負担がかかるようになり、頭痛や肩こり、ドライアイに悩まされる人も多いです・
A夫:恥ずかしながらまったく知りませんでした。だけどそういった情報は、病院のホームページにも書かれていないことがほとんどですよね。ほかにも、あまり知られていないデメリットはありますか?
D太郎:将来、緑内障の発見が遅れやすくなることも、あまり知られていない。角膜を削る処置のため、眼圧が正確に測れなくなるんです。やはり、最新の技術にすぐに飛びつくのは危険だと思います。ある程度時間が経って、術例の多い治療の方が安心なのは医療全般にいえることですね。
※女性セブン2022年4月7・14日号