国際情報

プーチン氏を激怒させたウクライナ女性団体 メンバー変死、音信不通の謎

「フェメン」の直接抗議を受けたプーチン氏。2013年4月(GettyImages)

「フェメン」の直接抗議を受けたプーチン氏。2013年4月(GettyImages)

「プーチンの戦争を止めろ」。自身の体にそうメッセージを書き、プラカードを掲げる裸の女性たちがヨーロッパを中心にデモ活動を行っている。ウクライナで創立され、“トップレス抗議”で知られる女性権利団体「FEMEN(フェメン)」のメンバーだ。彼女たちの身に異変が起きているという。「フェメン」の活動を取材してきたジャーナリストの奥窪優木さんが語る。

「ロシアによる侵攻が始まってから、『フェメン』の主要メンバーと連絡がとれないんです。過去にはプーチン氏の目の前で直接抗議したメンバーが変死したことがあります。戦争への抗議で迫害が厳しくなり、命の危険が迫っていなければいいのですが……」

 ロシアによる侵攻でウクライナでは被害が拡大。医療機関や救急車、学校、孤児院などが攻撃を受け、市民の死者は5000人を超えるという。そんななか、「フェメン」はロシアに対して激しい抗議活動を繰り広げている。

「フェメン」は2008年、女性フェミニスト4人によってウクライナで結成された。《私は来た、私は脱いだ、私は勝利した》というスローガンのもと、ウクライナでの買春ツアーや、悪質な国際結婚の仲介業、性差別といった国際的な社会問題に対して、トップレスでの抗議活動を展開し、世界の注目を浴びる団体である。

 ロシアによる侵略が始まるまで、ウクライナの首都キーウでは、300人あまりが「フェメン」の活動に参加していたとされる。団体の規模は年を追うごとに拡大し、国外での活動も活発に行われるようになってきた。イタリアやスイスなどに海外支部も設置され、2013年にはフランス・パリに本部が移された。

 女性の権利保護のために声を上げた「フェメン」の抗議の矛先は、プーチン露大統領にも向けられてきた。団体の発足初期のウクライナは、ヤヌコビッチ大統領によって親露政権が維持されていた。

「『フェメン』は人権問題や独裁に絡んで、プーチン氏を“世界で最も危険な独裁者”“彼が核ミサイルのボタンを握っているのは世界の脅威だ”と批判してきました」(奥窪さん・以下同)

 そんな彼女たちがプーチン氏に直接抗議したことがある。2013年4月8日のことだ。その日、プーチン氏はドイツで毎年開かれる国際産業技術見本市にドイツのメルケル首相(当時)と出席していた。

 プーチン氏が、メルケル氏や大勢のSP、閣僚に囲まれながら見学しているとき、メンバーの2人がバリケードを破って見本市に侵入。彼女たちの胸や背中には「独裁者」「虚飾のプーチン」と書かれてあり、プーチン氏に向かって突進したのだった。

「メルケル氏が“テロが起きたのか”と勘違いして慌てふためくなか、プーチン氏はニヤリと笑って余裕を見せ、なんとサムズアップまでして、彼女たちを迎えたんです。彼女たちの一風変わった抗議活動について、すでに知っていたのでしょう。しかし、笑顔を見せたその直後に鬼の形相に変わって、“秩序は乱さない方がいい!”と怒った様子でした」

 奥窪さんは、プーチン氏に直接抗議をしたオクサナ・シャチコさんに当時のことを聞いたことがある。

「2013年9月、東京で『フェメン』のメンバー4人を取材したとき、そのなかにオクサナさんがいました。彼女はプーチン氏に直接抗議したことについて“唾を吐ける位置まで近づいてクソッタレと言えたのは痛快でした。世界的に大きな反響を呼び、私たちの抗議活動でもっとも成功したものの1つと言えるでしょう”と誇らしげに語っていました。その後、オクサナさんは親露派のウクライナ政府による迫害が厳しくなったため、フランスに亡命しました」

関連記事

トピックス

離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
京都成章打線を相手にノーヒットノーランを達成した横浜・松坂大輔
【1998年夏の甲子園決勝】横浜・松坂大輔と投げ合った京都成章・古岡基紀 全試合完投の偉業でも「松坂は同じ星に生まれた投手とは思えなかった」
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志と浜田雅功
《松本人志が11月復帰へ》「ダウンタウンチャンネル(仮称)」配信日が決定 “今春スタート予定”が大幅に遅れた事情
NEWSポストセブン
“新庄采配”には戦略的な狙いがあるという
【実は頭脳派だった】日本ハム・新庄監督、日本球界の常識を覆す“完投主義”の戦略的な狙い 休ませながらの起用で今季は長期離脱者ゼロの実績も
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン