体を動かす
「“え、それだけ?”と拍子抜けするかもしれませんが、運動とメンタルは直結しています。スポーツ選手と接していて、心は体に、体は心に、相互に深い影響を及ぼしていると感じます。
スランプに陥っているときは、胃腸に不調を感じたり、吹き出物ができたり、不眠になったり、不整脈を起こすこともあります。これらの場合は、心のケアも大事ですが、まず体の健康を戻すようにします。そのためにも適度に体を動かすことが必要です」(高畑さん)
体の調子が整ってくると、心も安定してくるのだが、体を動かすことで、心身に癒し効果を与えることもできる。そのいい例が、女優の吉永小百合と黒柳徹子だ。
吉永は水泳を30年以上続けており、いまも「“癒し”のような感じで2000?3000m泳いでいる」と、昨年出演した『徹子の部屋』(テレビ朝日系)で明かしている。また、黒柳もヒンズースクワットを毎日欠かさず行い、心身の健康を保っているという。
瞑想をする
「瞑想をすることで自分の体に意識が向き、内受容感覚が研ぎ澄まされます」(加藤さん・以下同)
瞑想を取り入れている有名人は多く、今年、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した、俳優の磯村勇斗もその1人。朝起きたときや夜寝る前に5?10分程度の瞑想を行って、心身を整えていることをインタビューで明かしている。
「目をつぶって深く呼吸するだけでもいいですが、指先に意識を集中するようにすると、より自分と向き合うことができますよ」
嫌な記憶は脳内のボックスに入れる
「感情経験と内受容感覚は密接につながっています。楽しい記憶は精神を安定させますが、嫌なことを思い出すと心拍数が上がり、汗が出る、体が震えるなどの身体反応が起きて、不安を引き起こします。
内受容感覚を安定させるためにも、忘れてしまいたい嫌な記憶は封印してしまいましょう」
そのやり方は、以下のとおりだ。
「これまで経験した“嫌な思い出”をあえて思い出します。このとき、嫌な気持ちになるかもしれませんが、そこはぐっとがまん。次に、脳内に嫌な記憶を閉じ込めるためのボックスを想像で作り出します。どんなボックスでも構いませんが、鍵付きの頑丈なタイプを思い浮かべましょう。
そして、最初に思い出した“嫌な思い出”をボックスの中に入れて、鍵をしっかりかけます。嫌な記憶には、たとえば“高校時代の恥ずかしい思い出”などのタイトルをつけて、脳の奥にしまい込むようなイメージをしてください。これでその思い出にあれこれ苦しめられることがなくなりますから、だまされたと思ってやってみてください。
私の患者さんにも実践してもらっている方法なのですが、思った以上に効果がありますよ」