ライフ

東大卒医師が減塩論争に一石「減塩やめて油を摂れ」提言の真意を語る

「減塩やめて油を摂れ」提言の真意を語る大脇幸志郎医師(写真/本人提供)

「減塩やめて油を摂れ」提言の真意を語る大脇幸志郎医師(写真/本人提供)

 これまで信じられてきた健康法を「いますぐやめるに限る」と語る医師がいる。東大医学部卒、“異端”の大脇幸志郎医師からの提言とは──。

減塩しても血圧は下がらない

「日本人は塩を減らして油を控えることが健康的であると信じていますが、それはウソです」

 こう語るのは、医師の大脇幸志郎氏だ。

 その経歴は実にユニーク。1983年生まれの大脇医師は東京大学医学部を卒業後、働くことを見つめ直すためにすぐには就職せず、2年ほどフリーターとして過ごした。その後、医療情報サイトの運営などを経て医師の職につき、現在は首都圏のクリニックで、高齢者の訪問診療を担う。

 訪問診療で高齢者の高血圧や糖尿病を治療している大脇医師だが、「減塩をいますぐやめること」を提言している。

「これまで塩=塩化ナトリウムは長きにわたって悪者とされ、厚生労働省は『塩を摂ると血圧が上がる。健康のために塩を減らせ』と言い続けてきました。ところが国際機関『コクラン』が2018年4月までの研究データを体系的に集めて2020年に発表した研究結果では、血圧正常のアジア人は1日12.6gの塩を6gに減らしても血圧が有意に下がらなかった。

 また同研究によれば、減塩で血圧が下がるのはもともと高血圧の人だけで、下がった数値もたった7mmHg。温度や体の状態などで血圧が容易に上下することを考えれば、誤差に近い数値でした。つまり、減塩してもほとんど血圧は下がらないのです」(大脇医師・以下同)

 さらに衝撃的なデータを大脇医師は提示する。

「もともと血圧を下げるのは心筋梗塞や脳卒中など、血管系の病気を防ぐためとされます。しかし2013年4月までの研究データに基づくコクランの報告によると、血圧が正常な人でも、高血圧の人でも、減塩すると死亡や病気が減るという効果は見られませんでした。つまり、減塩しても血圧はわずかしか下がらないばかりか、そもそも減塩が病気を防ぐというエビデンスが存在しないのです」

 減塩の効果は血圧を下げるだけではなく、血管系とは異なる病気の治療にも減塩は有効と言われてきた。だが大脇医師は「減塩は他の病気の治療にならない」と断じる。

「これまで塩を摂ると体内に水分がたまるとの仮説に基づき、腹水が溜まる肝硬変、むくみや息切れが出る心不全、内耳にある液体の異常が原因とされるメニエール病に対して、減塩療法が有効とされてきました。しかしこれらの病気で繰り返し臨床研究が行なわれたのに、減塩療法の効果は証明されませんでした」

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン