柳亭こみちおすすめの落語を紹介(写真/ヒダキトモコ)
■柳亭こみちの6選
●入門者向け
『女たちとたけのこ(たけのこ)』
【内容】原作は、隣家の竹やぶから生えたたけのこを食べようとする武士と家来、そうはさせまいとする隣家との争奪戦を描いた7分ほどの噺。女性版では、武士、家来、隣家を、婦人、女中、老婆に置き換えている。
『そばの清子(そば清)』
【内容】賭けの報酬で子供5人を育てた清子は、人間をのみ込んで苦しむウワバミが、赤い草を食べて腹を小さくしていることを知る。あるそばの賭けでこの草を食べた清子は消えてしまい、着物姿のそばが残った。「オチで、清子が消えないバージョンもあります」(こみち・以下同)。
『死神婆(死神)』
【内容】金に困って死のうとする男に、老婆の死神が現れ、「金儲けさせてやる」と持ちかける。病人につく死神を見分け、命を助ける呪文を伝授したのだ。男は金持ちになったが……。「地方の落語会でも好評の噺。おばあさんならではのオチに注目してください」。
●通好み
『うどん屋と芸者(うどん屋)』
【内容】「原作は、屋台の鍋焼きうどん屋と酔っ払いの噺だが、酔っ払いを登場させず、芸者とうどん屋を軸に、いろいろな種類の女性が次々とやってくる設定に。キャラの濃い登場人物を喜んでいただけるようで、若いかたが客席に多い会でよく披露します」
『不動坊〜女版〜(不動坊)』
【内容】恋する人に嫁ぐ女性に嫉妬する女性の噺。女同士で新婦の悪口を言うわ、世話焼きおばさんが出てくるわ、ちょっと面倒な女性が出てくるわの賑やかな噺。舞台は昔の噺だが、現代の人が聴いても笑いどころが満載。
『寝床〜おかみさん編〜(寝床)』
【内容】下手な義太夫を人に聴かせたがる旦那が、近所の人を集めて義太夫を聴かせようとするが、みんな理由を付けて逃げようとする……。主人公を女義太夫好きのおかみさんに変えた作品。おつきあいのつらさが「わかる」とうなずける。
【DATA】
柳亭こみち
生年月日…1974年12月10日
出身地…東京都東村山市
入門…2003年2月、前座:2003年10月、二ツ目:2006年11月、真打:2017年9月
師匠…柳亭燕路
出囃子…供奴
趣味・特技…長唄、日本舞踊(吾妻流名取)
公演情報…「落語坐こみち堂Ⅺ」5月19日(木曜)国立演芸場にて。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年4月21日号