韓国と北朝鮮の禁じられたラブストーリーを描いた韓国ドラマ『愛の不時着』。“不時着ブーム”から2年ほどたつ今も、主演のふたり、ヒョンビンとソン・イェジンの結婚式のニュースが飛び込んだり、韓国ドラマ史上記録に残る名作として話題になり続けている。
そんな中、その歴史に並ぶと言われるほど韓国で大ヒットしたドラマ『赤い袖先(原題)』が、ついに日本上陸! 韓国の大ベストセラー小説のドラマ化で、『2021MBC演技大賞』8冠受賞。この話題作をひと足先に鑑賞した韓国人の筆者が見どころをお伝えしたい。
『愛の不時着』は、近いようで絶対超えられない国境を超えた男女の切ない愛、という空想のファンタジー設定だったが、『赤い袖先(原題)』は、史実に基づく王と女官のラブストーリーだ。袖の先が触れ合う距離にいながら、手の届かぬ人――やはり、近いようで絶対に超えられない遠い存在同士。より切なさと美しさが増す。
主人公は、約250年前の朝鮮時代第22代王イ・サンと女官ドクイム。ドラマの題名にある「赤い袖先」は、朝鮮時代の女官を意味する。なぜなら、女官の服の袖先は赤い布で作られていたから。
イ・サン役のジュノ(32)は2008年にデビュー、2PMではK-POPのトップアイドルとして活躍しつつ、2013年に映画デビューを果たして以来、その演技力も高く評価されてきた。アイドルは演技ができないという当時言われていた常識を覆した1人でもある。
特に、『赤い袖先(原題)』はジュノの除隊後復帰作としても注目されていた。韓国の人々に愛される王、イ・サンを描いたドラマや映画は数多く、その時代を代表する俳優がこの王を演じてきた。日本でも愛されたドラマ『イ・サン』(2007~2008年)では、イ・ソジンが、映画『王の涙 -イ・サンの決断-』(2014年)では、ヒョンビンが演じている。
ジュノも、イ・サンを演じるプレッシャーを感じたと、韓国のある番組で話していた。しかし、王のカリスマ性から内面に抱えた複雑な想いまでジュノは見事に演じている。特に涙を流すシーンでは、見ている人ももらい泣きせずにはいられないほど。祖父役との緊迫したシーンの撮影では、カットがかかった後、その場にいたキャストやスタッフから思わず大きな拍手がわいたという。