ビジネス

結局、日本の中高年はガソリンエンジン車とともに「逃げ切る」ことになるだろう

電気自動車(EV)の充電を体験する小泉進次郎環境相(当時)。2020年10月21日、横浜市(時事通信フォト)

電気自動車(EV)の充電を体験する小泉進次郎環境相(当時)。2020年10月21日、横浜市(時事通信フォト)

 スイカがモチーフのヘルメットをかぶり、オーバーオール姿で電動の原付バイクで旅するバラエティ番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京)の見どころのひとつは、バッテリー残量が0%になったときに充電をさせてくれる近辺の民家や店舗などを探し回るところだろう。その慌てた様子はバラエティ番組なので楽しんで見られるが、自分が電動バイクや電気自動車を普段使いするかといえばどうなのか。SDGsに貢献する取り組みのひとつとして国策にもなり、各メーカーが急ピッチで開発をすすめるBEVを現在のガソリン車ユーザーはどう見ているのか、俳人で著作家の日野百草氏が聞いた。

 * * *

「BEVねえ、よくわかんないけど、電気でしか動かないんだろ。そんな大量の電気なんてどこで入れんのよ」

 都心から50kmほど離れた関東近郊、ガソリンスタンドで缶コーヒーを飲みながらテレビを見ている高齢男性に話しかけてみる。着の身着のままで軽トラのオイル交換待ち、農家も多いこの辺で軽トラは都会のママチャリ感覚だ。

「家で電気入れて、途中で止まったら大変でしょ、近所で入れさせてもらうわけ?」

 実に素朴な疑問、この「入れる」は充電の意味だ。もちろん、このガソリンスタンドに専用の充電設備はない。BEVとはバッテリーの電力のみで動く電気自動車。日本では約8000万台の化石燃料車(HV・PHV含む)が走っている。いまやHV(ハイブリッド車・ガソリンと電気の併用・HEVとも)やPHV(外部充電できるハイブリッド車・PHEVとも)など珍しくもないが、純然たる電気自動車であるBEVとなるとその中のわずか数万台といったところ。将来的には内燃機関による自動車を全廃し、このBEVによって、ガソリンを使わず電気のみで脱炭素を目指すとしている。

「テレビで見たな、スクーターで田舎走って『電気入れさせてください』ってやつ、あれ面白いな」

 その番組は『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』ではないかと話すと「そうそう、でも自分じゃやりたくないな」とのこと。確かに人気番組で有名タレントだからこそ成立する話で、「充電させて」と言って「どうぞ」という家も少ないだろう。またフル充電でも実用距離は20kmくらい(乗り方、地形にもよるだろうが)だろう。

「昔は家に『トイレ貸して』なんてのも来たけど、いまじゃおっかねえしな」

関連キーワード

関連記事

トピックス

二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
4月3日にデビュー40周年を迎えた荻野目洋子
【デビュー40周年】荻野目洋子 『ダンシング・ヒーロー』再ヒットのきっかけ“バブリーダンス”への感謝「幅広い世代の方と繋がることができた」
週刊ポスト
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン