進んでワクチン接種をしていたものの、コロナに感染したことによって考えが変わることもある。自営業の男性(70)はこう語る。
「親しい人に“反ワクチン”の人もいましたが、僕は積極的に打っていました。健康体とは言えないし、それが大人のたしなみだと思っていました。ところが、3回目を打った2週間後にオミクロン株に感染しちゃったんです。会食の約束をしていた人に連絡したら『3回目打ったばかりなのに感染しちゃったの? そんなもんなんだ』と驚かれて、僕のショックも相当大きかった。幸いにも症状は発熱ぐらいだったから自宅療養で済みましたが、それだったらいつまでもワクチン、ワクチンとしなくてもいいんじゃないかなという境地になりましたね。4回目もあるなら5回目もあるでしょうし、キリがない。“4回目はもうやらない”と会社の人間や家族には伝えました」
ところが、「打たない」と決めていても、周囲への配慮が必要なことを痛感しているという。
「会社の人間からは、『打たないことを外では言わないでくれ』とそれとなく注意されました。妻のほうはもっとキツくて、『打たなくても結構ですけど、誰かに聞かれたら打ったと答えてくださいね』と。確かに、仕事関係者や会食相手の顔を浮かべると、4回目接種が始まってそういう話題になったら、僕も『打つ』と言うと思います」
歌に支障が出る
そんななか、「タイガーマスク」の主題歌や、敏いとうとハッピー&ブルーのヴォーカルとして知られる歌手の森本英世氏(73)は「4回目は打たない」と公言する。
「もともとアレルギー体質で、ワクチンには副反応があると聞いたので不安がありました。が、亡くなる人や入院患者が増えていき、新型コロナに感染して肺炎の症状が出てしまうと歌手にとって致命的だと考えて、打つことを決意しました。
2回目も『嫌だなぁ』と思いながら打ちましたが、3回目の時は接種率がすぐに伸びなかったこともあり、できれば回避したいと思っていました。ただ、感染者数がまた伸びて自治体やボランティアの方から誘われたこともあって打ちました。そしたら38度5分の高熱が出て食欲も落ち、数日間療養しなければならなくなった。そうなると今度はワクチンの副反応で歌えなくなったらどうしようと心配になったのです」