1987年、退団が決まり記者会見する阪神の吉田義男監督(右=時事通信フォト)
グラウンド外の出来事に注目集まる共通点
「あの頃は今と違い、30代になればベテランと呼ばれており、チームが世代交代の時期に差し掛かっていました。だから、低迷するのは仕方なかったとも言えます。しかし、今年のメンバーを見ると打線では近本光司や大山悠輔は脂が乗ってくる年頃ですし、佐藤輝明や中野拓夢など将来性豊かな選手がレギュラーで出ている。投手陣だって青柳晃洋や秋山拓巳はここ数年は全盛期としての活躍を期待される年齢でしょうし、伊藤将司や小川一平という活きのいい若手もいる。中堅や若手が主力を占めており、これほど落ち込む戦力ではない」
1987年と今年の共通点は、グラウンド外の出来事に注目が集まったことだろう。1987年は開幕前に4番の掛布雅之が飲酒運転、2年連続三冠王のランディ・バースがスピードオーバーという道路交通法違反を犯し、不穏な空気が立ち込めていた。6月には竹之内雅史打撃コーチが代打起用を巡って吉田監督と対立し、シーズン途中に退団するという“お家騒動”が起こった。今年は言わずもがな、矢野燿大監督がシーズン前に今季限りでの退任を自ら発表したことである。
「阪神は監督自身が何も発しなくても、マスコミに騒がれる。それなのに、格好の監督人事ネタを自分から提供してしまった。選手は自分のプレーに集中するだけとはいえ、開幕早々から来季監督の話題が出れば、気にならないわけがない。自ら雑音を生み出すような行為をしてしまったことはマイナスでした。しかし、そんなことを言ってももう遅い。このまま阪神が浮上できず、5月中旬あたりに自力V消滅となれば、矢野監督のシーズン中の退任はあると思いますよ」
チームにとっても矢野監督にとっても、厳しい状況にあるのは、間違いない。