発がんリスクを上げるor下げる生活習慣
太陽の光がいちばんの特効薬
ステイホーム生活で使用時間が大幅に延び、これまで以上に生活必需品となっているスマホだが、使い方を間違えればがんリスクを上げる要因となりうる。
「携帯電話から出ている『RF波』と呼ばれる無線周波にがんとの関連性が懸念されるため、特に通話中にデバイスと接しやすい頭頸部にがんの発生リスクが高まる可能性があることを国際がん研究機関が発表しています。
なるべく長時間の通話を避ける、スピーカーモードやハンズフリー通話を使用するなど、使い方を工夫する必要があるでしょう」(大西さん)
スマホが発するブルーライトにもがんとの関連性が指摘されており、男性の前立腺がんのリスクを2倍に、女性の乳がん発症リスクを1.5倍にするという報告がある。
人工的な光は有害だが、太陽の光はリスクを下げる一因となりうる。
「自転車通勤している人はがんリスクが45%低い」「屋外で20年以上働いている女性は50才以降乳がんになるリスクが17%低い」などの調査結果が報告されているのだ。
「これらは適度な有酸素運動に加え、日光に当たることによって体内のビタミンDの量が増加していることが要因だと考えられます。血中のビタミンD濃度が高い人はそうでない人よりもがんのリスクが大幅に下がることが多くの研究によって明らかになっています」(秋津さん)
この時期に悩まされる人が多い花粉症も、意外にもがんリスクを下げる要因の1つになっている。2016年にアメリカの学術誌に発表された論文によれば、花粉症の人はがんによる死亡率が52%低くなるという。
東京大学医学部附属病院放射線科特任教授でがん専門医の中川恵一さんが解説する。
「これは私たちが持つ『免疫監視機能』が関連していると考えられます。そもそも花粉症の症状が出る原因は過剰な免疫反応にあります。こうした強い免疫力は花粉だけでなくがんをもブロックする効果を持つと考えられます。
ただし、強い花粉症治療薬を服用している場合、アレルギーを抑えられる半面、免疫力全体の働きが弱まってしまう可能性もある」