ぬか漬けは“三大菌トレ”食のひとつ(写真/GettyImages)
「赤身肉を頻繁に食べる人は、腸内の善玉菌が減りやすく、悪玉菌が増えやすい傾向にあることがわかっています。合成甘味料や酸化防止剤も悪玉菌を増やすので避けた方がいいでしょう。また、運動不足によって筋肉量が低下すると、腸のぜん動運動がにぶって、便秘の原因になります。さらに、睡眠不足や過度のストレスは自律神経のバランスを乱し、腸内環境を悪化させます」
運動と腸内細菌の関係は少しずつ明らかになってきており、トップアスリートの腸に多くみられる「アッカーマンシア菌」が注目を集めているという。
「アッカーマンシア菌は、酪酸をつくり、体脂肪率を下げて肥満防止に役立ちます。また、激しいスポーツなどによる体内の炎症を修復する作用もあり、特にプロラグビー選手の腸に多いことがわかっています」(森田さん)
その一方で“長寿の島”奄美群島の高齢者の腸内にも多いことがわかり、森田さんらは研究を進めている。奄美群島の人々は高齢でも自活して日常的に体を動かす機会が多いことからも、アッカーマンシア菌と運動にはなんらかの密接な関係があるとみている。その一方で、運動不足や猫背は「下がり腸」を招くと、小野さんは言う。
「便秘や下痢など、腸の不調を訴える人の半数近くが、腸が下がっています。原因は、筋肉量の低下や便の重みによるものなどさまざま。ひとたび下がり腸になると、腸の機能が少しずつ低下していき、腸内細菌の活動も次第に悪くなっていきます」(小野さん・以下同)
小野さんは、大腸の詰まりを解消し、下がり腸の改善に役立つマッサージを考案。別掲のイラストを参考に、毎日朝食後にやってみてほしい。
「朝食をとってから、少し時間をおいて行い、その後トイレに行くのがベストです。毎日行うことでぜん動運動が活発になり、少しずつ腸が整ってくるのがわかるはずです」
下川さんは「森林浴」も菌活になると話す。
「多くの菌を空気中から取り入れることも、有効な菌活の手段なのです。森の中の空気と都会のオフィス街では、菌の種類に何百倍もの差があるので、自然が豊かな場所に行く時間をできるだけつくるといいでしょう。時間がなければ広い公園でもいいし、部屋の中にグリーンを入れるだけでもいい」(下川さん)
※女性セブン2022年5月12・19日号