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納豆菌は熱にも強い(写真/GettyImages)

電子レンジより蒸し器調理が菌に効く

 善玉菌のことを「プロバイオティクス」というのに対し、善玉菌のえさになるもののことを「プレバイオティクス」という。その代表格が食物繊維だ。

「食物繊維には、根菜類や豆類に豊富な不溶性と、海藻類や大麦、オクラや長いもなどのネバネバ食材に豊富な水溶性の2種類があります。

 不溶性食物繊維は便のかさを増して腸のぜん動運動を促すため、軟便や残便感のある人におすすめです。一方、水溶性食物繊維は腸内の水分を吸ってドロドロのゲル状になり、汚れをからめ捕って排出するのを助けます。現代人は水溶性食物繊維が不足しがちなので、意識して摂ってほしい」(小野さん)

 そのほか、ポリフェノールやオリゴ糖も、善玉菌のえさになる。ポリフェノールには、活性酸素を減らすことでビフィズス菌の働きを助ける作用もある。そして、水溶性食物繊維とポリフェノール、オリゴ糖のすべてが含まれる食材が「りんご」だ。

「毎日、2個か1個半のりんごを3週間食べ続けることで、ビフィズス菌が15%増えて、悪玉菌の代表格であるウェルシュ菌が減ったというデータもあります」(下川さん)

 オリゴ糖は納豆や玉ねぎ、アスパラガスなどにも含まれるが、食材に含まれる量は少なく、腸に届けるためには約5gを摂取する必要がある。りんごや玉ねぎなどを積極的に食べるだけでなく、市販のオリゴ糖シロップなどを砂糖の代わりに使うことで、摂取量を増やすのもおすすめだ。

 ヒト細菌叢解析の専門家で岡山大学大学院教授の森田英利さんは、腸内環境を整えるには、ビタミンの摂取も重要だと話す。

「腸内細菌がバランスよく維持されるためには、プレバイオティクスだけでなく、ビタミンも必要です。腸内細菌の中には、生育にビタミンを要求するものがあります。それらの細菌は自分でビタミンをつくり出すことができないので、食事から摂取する必要があるのです」(森田さん)

 食材を加熱する際は、栄養素を逃しにくい蒸し調理が最適。だが、電子レンジは使わない方がいい。

「電子レンジで加熱すると高温になりすぎるので、栄養素が壊れます。また、鍋でゆでるとビタミンの2割が失われる。一方、蒸し器を使えばビタミンが減らず、ポリフェノールは1.6倍に増えるということがわかっています」(下川さん・以下同)

運動すると“アスリート菌”が増える!?

 いくら納豆やぬか漬けを食べて菌を入れても、受け入れる腸の環境が悪くては意味がないと、下川さんは言う。取り入れた菌を育て、活動を妨げないのが、本当の菌活だ。

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