ライフ

【著者インタビュー】奥田亜希子さん、夫婦の秘密を描く『求めよ、さらば』を語る

奥田亜希子さん

不妊治療を始めた夫婦のコミュニケーションと秘密を描いた恋愛小説を書いた奥田亜希子さん

【著者インタビュー】奥田亜希子さん/『求めよ、さらば』/KADOKAWA/1760円

【本の内容】
34歳、翻訳家の志織と、ソフトウエア開発会社に勤める誠太は結婚7年目。《誠太は優しい。交際を始めた社会人一年目の四月から、十二年間ずっと。私は彼に傷つけられたことがない》。そんな穏やかな日々が、不妊治療をきっかけに少しずつ形を変えていく。期待をしては絶望する日々。誠太は言う。《僕は志織を支えきれなかったんだなと思うと、申し訳なくて》。そして置き手紙を残して姿を消した—2人の出会いを描いた第2章、そして現在に戻り、再び交わる第3章へ。夫婦の選択が胸に迫る恋愛小説。

「惚れ薬」を使う人、使われる人を書きたかった

 夫婦の間の「秘密」を描く、一風変わった恋愛小説である。志織と誠太のカップルはともに34歳。結婚して7年になり、そろそろ子どもを、と思うが授からない。不妊治療を始めているが、これといった原因はどちらにもない。

 料理もすれば、不妊治療でも妻に寄り添う誠太は、優しい夫だ。志織の女友だちからも「よくできた旦那」「完璧な旦那」と言われるが、ある日、思いがけない行動に出て、志織を驚かせる。小説は3章構成。1章が現在の2人を、2章が出会ったころを描き、3章で再び現在に戻る。

「最初は、ふつうに時系列順に書いていたんです。大学生の志織と誠太は、アルバイト先の居酒屋で出会って、つきあうようになるんですけど、ある程度、書いたところで編集者のアドバイスを取り入れて2章と1章を入れ替えました。ちょっと変わった恋愛小説だと受け取られるのは、そのせいかもしれません」

 なかなか妊娠できない志織は、さまざまなジンクスを試したり、ヒーリングセラピーを受けたりする。

「原因がわからないつらさもあるんじゃないかと思いました。志織は自然妊娠したい気持ちもあって、次の段階に進めない。実際に、原因不明の不妊というのは多いそうです」

 不妊治療の医者がなにげなく言った、「夫婦間の相性」という言葉が、2人の関係に影を落とす。自分以外の相手であれば、と考えさせ、誠太を過去のできごとに引き戻す。

関連キーワード

関連記事

トピックス

WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン