阿武町の広報誌に掲載される予定の記事ページ

阿武町の広報誌に掲載される予定の記事ページ

 なぜ、このニュースにこうも数字があり、人々が興味津々で見守っていたのか。それは、本来なら均等に配られるはずだったコロナ関連の給付金であること。さらに元は“税金”であり、もしも本当に誤送金された24歳の男が返金しないことになると、近年、視聴者がもっとも嫌う“ズル”と“不公平”に繋がるからである。何かの不正をして一瞬でも懐が潤ったと報道された有名人が、その後なかなか本格復帰できないのと同じく、「なぜ、あの人だけが得ができたのか」という憤りが関心に直結しているのだ。

 阿武町役場が支給される世帯を記録した“フロッピーディスク”を銀行に提出し、その5日後に、振込依頼書をもっていったことや、銀行は一世帯に4630万円を振り込んだ“後”に、町役場に連絡をしたことなどに視聴者=納税者がモヤモヤ感を抱き続けていることも数字に繋がっている。

 もちろん、阿武町役場や町民の皆さんは絶対に笑えないだろうし、一刻も早く全額を返金してもらいたいと思っているに違いない。同時に、銀行に誤った書類を提出してしまった新人職員一人に責任を押し付けるようなことがあってはいけないし、自分たちの非を棚に上げて、当該の男の前で”上から“な言動をしなかったかどうか。裁判では、阿武町側の経緯も明らかにされるべきだろう。

また、Iターンや移住就労支援に力を入れている他の自治体が「もしも、我が市町村で、こんなことが起きてしまったら」と迎え入れに消極的になってしまいかねないことも懸念される。

 当該の男が逮捕された翌朝も、事の顛末が気になって気になってしかたがない視聴者が生ワイドにチャンネルを合わせている。このニュース、しばらく長尺で報じられることと思う。

◆山田美保子
 『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)などに出演中。CM各賞の審査員も務める。

広報誌に掲載予定の記事には、被告の名前や住所が晒されている

広報誌に掲載予定の記事には、被告の名前や住所が晒されている

花田町長(時事通信フォト)

花田町長(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン