不運その2──「本人が来ないと組み戻せない」
田口容疑者のインスタグラムより
発覚したのは9時50分頃だった。町の指定金融機関である山口銀行・阿武支店から町に「誤振り込みがあったのではないか」と連絡があり、すぐに組み戻しの依頼を出すことになる。
「この件が、山口銀行の支店から山口銀行の支店への振り込みだったら、あっという間に組み戻し手続きが終わったかもしれないんです……。
ところが、今回はメガバンクに振り込まれたので、町が山口銀行に組み戻しの依頼を出して、そこからメガバンクの宇部支店に連絡し、そこから当事者(田口容疑者)に連絡が行くようになっているんです。
メガバンクの宇部支店もすぐに電話をしてくれたみたいですが、本人につながらないということで、山口銀行阿武支店から町役場にその旨の電話が入りました。“町役場では彼の連絡先は分かりますか?”と聞かれたので、こちらでも連絡をしたけれども連絡がつかなかったんです。じゃあ直接、職員に行ってもらおうと、たまたま彼と以前会ったことがある職員に行ってもらったんです。まずは(田口容疑者の)職場に行ったがいない。それで自宅に行ったら、彼が自宅にいました。(役場から)距離があったので、そこまでで午前11時になっています」
中野副町長は、町内の学校の入学式に出席していて、11時頃に事態を把握。すぐに山口銀行・阿武支店に行って相談したという。
「公金ですし、大金ですし、銀行同士だからどうにかならないのか、と聞きました。しかし『本人が行って申請していただかないとどうにもなりません』との答えでした」
ここでも、メガバンクに振り込まれてしまったことで時間のロスが発生していたといえる。
(後編に続く)