国際情報

中国がエベレスト8830m地点に自動気象観測機器を設置 軍事利用の懸念も

自動気象観測機器設置の目的は?

自動気象観測機器設置の目的は?

 中国科学調査隊が5月初旬、世界最高峰のエベレスト(チョモランマ=標高8849m)の登頂に成功し、同山北側斜面の標高8830mの地点に重さ50kgの自動気象観測機器を設置したことが分かった。気象観測機器の設置地点としては、世界でもっと高い標高となる。これまで世界で最も高い観測所は2019年に英国と米国の科学者が設置した標高8430mで、その記録が塗り替えられた。中国共産党機関紙「人民日報」が報じた。

 13人で編成され中国科学調査隊は、5月4日午後0時46分ごろ、チョモランマ登頂に成功。頂上部分から20m下の8830m地点に自動観測機器を設置し、世界で初めてチョモランマ北側斜面の気温、湿度、風速、風向き、太陽放射などのデータがリアルタイムで地上の観測基地に伝送された。また、調査隊はチョモランマ頂上で、世界で初めて山頂の氷雪の厚さを計測した。

 調査隊は昨年も、標高5200~8300mのチョモランマ北側斜面に7カ所の自動気象観測機器を設置しており、今回が8か所目となる。

 同紙は「これによって、得られた実測データがチョモランマの超高層気象記録の空白を埋めると同時に、中国のチョモランマ気象観測体制がほぼ完成したことをも意味する」と指摘している。

 調査隊は今後、9000m地点に「飛行船型大気観測機器」も投入する予定で、これが成功すれば科学機器の設置地点としては世界記録を更新することになる。

 しかし、インド紙「ヒンドゥスタン・タイムズ」は「これらのデータがチョモランマの科学調査だけに使われる保証はない。ミサイルや戦闘機の飛行などに活用される可能性もある。実際、中国はチベット自治区などで軍事基地を建設する際、学術調査隊が観測・収集したデータを利用してきたこともある」などと指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト