開眼片脚立ちトレーニングの詳しいやり方は上掲図に示したので、ぜひ取り組んでみてほしい。また、転倒を防ぐには、住まいの片付けが欠かせない。
東京消防庁の調べでは、65歳以上の高齢者が転倒した事故のうち、約半数が自宅で発生していた。林氏が語る。
「中でも多いのが、居間の新聞紙の上で滑ったり、コードに足を引っかけたりと些細なことで転ぶケースです。また玄関や勝手口のちょっとした段差に躓いて搬送されることも多い。自宅の生活動線を整理整頓し、転倒しない住まいの環境整備が重要です」
たとえば、滑りやすくなっている浴室や玄関には「滑り止めマット」を置いたり、暗くて足元が見えないことを避けるために照明を明るいものに換えたりするなどの工夫をすることが、転倒のリスクを避けることにつながる。
骨卒中を避けるためにはこうした日々の心がけが重要となるが、骨卒中の「治療薬」も進化している。萩野氏が語る。
「2019年に骨形成を促進して骨吸収を抑制する、骨粗しょう症治療薬の新薬『ロモソズマブ』が世界に先がけて日本で承認され、患者の骨密度を10~15%増やすことが可能になりました。まだ使用できるのは高リスクの患者だけですが、『一度衰えたら元には戻らない』とされた骨密度を回復させる新薬は大きな希望となります」
骨太の対策を講じることが健康長寿につながる。
※週刊ポスト2022年5月27日号