スポーツ

照ノ富士の一人横綱より深刻 大相撲「一人立行司」7年の異常事態

5月場所9日目、翔猿を豪快にきめ出す照ノ富士。両ヒザのサポーターが痛々しい(時事通信社)

5月場所9日目、翔猿を豪快にきめ出す照ノ富士。両ヒザのサポーターが痛々しい(時事通信社)

 5月22日に千秋楽を迎えた大相撲5月場所。3場所ぶりの優勝を目指す休場明けの横綱・照ノ富士は初日、6日目、中日に金星を配給する苦しい前半戦だったものの、後半は持ち直して優勝争いに踏みとどまり、かろうじて横綱の面目を保った。1月場所で古傷のヒザを痛め万全の状態にはほど遠いものの、「一人横綱」の重圧の中で奮闘したとはいえるだろう。

 結びの土俵を務める横綱が1人だけ、しかも深刻なケガを抱える状況は相撲協会にとって悩みのタネだが、それと並ぶ頭の痛い問題がある。横綱の土俵をさばく立行司(最高位の行司)が式守伊之助だけという「一人立行司」の状況が、すでに7年を超えていることだ。相撲担当記者が語る。

「行司には最高位の立行司、それに次ぐ三役格行司から、最下位の序ノ口行司まで8階級あり、横綱の取組をさばけるのは『木村庄之助』と『式守伊之助』の立行司2人のみ。中でも庄之助が格上とされ、力士でいえば“東の正横綱”に相当します。今は庄之助が空位なので伊之助が結びと結び前の2番を務めているが、本来は庄之助が結びの一番をさばく慣例になっています」

 現在の41代式守伊之助は2019年1月場所に就任。一方の木村庄之助は37代が2015年3月場所限りで定年(65歳)退職して以降、空位のまま。これまでも定年に伴って木村庄之助が空位になったことはあったが、いずれも数場所のうちに式守伊之助が昇格していた。最高位の行司が7年以上も不在というのは「角界の異常事態」(協会関係者)といえる。

 どうしてこんな状況が続いているのか。ある若手親方が解説する。

「異例のスピード出世を遂げた先代(40代)の伊之助が庄之助に昇格するとみられていたが、2018年に若手行司へのセクシャルハラスメント問題が発覚し、3場所の謹慎後に退職。一時的に立行司が誰もいない状況になってしまい、大急ぎで41代伊之助を就任させたが、差し違えや土俵からの転落が多く、庄之助への昇格がずっと見送られてきた。

 それでも今(41代)の伊之助もあと2年で定年を迎える。今秋には理事会の審査を経て38代庄之助への昇格を認める方向のようだ。同じタイミングで三役格行司の誰かを42代伊之助に据えるのではないか」

 37代木村庄之助を務め、7年前に退職した畠山三郎氏(72)は「長きにわたる庄之助の不在」をどう考えているのだろうか。

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン