現実に、子供の感染症流行の状況には、異変が起きている。

 昨年の冬は、例年、夏に流行る「手足口病」や「ヘルパンギーナ」が季節外れの拡大を見せ、過去5年の同時期では最高水準を記録した。一昨年は激減した「RSウイルス」も、昨年は春先から大流行し、コロナ禍前を上回るほどの感染者が出ている。

 子供の免疫が弱まっているために、通常では発症しない急性肝炎が起きている可能性は否定できないという。

「もし急性肝炎の原因がアデノ41型なら、ある程度感染数が増加するかもしれませんが、逆にアデノが原因なら、死亡例がそんなに増えるとは考えにくい。ウイルスが強毒性に変異していれば死亡例が増える可能性がありますが、コロナウイルスと違いアデノウイルスはもともと変異しにくい性質を持っています。それほど怖がる必要はないと思います」(高橋医師)

 では、子供を急性肝炎から守るためにできることは何か。

「アデノウイルスはノロウイルスと対策は同じで、石鹸での手洗いを徹底することです。コロナウイルスにはアルコール消毒が効きますが、ノロやアデノにはアルコールが効きません。石鹸で洗い流すのが有効です。

 急性肝炎を診断するには、血液検査をして肝機能のデータを見る必要がありますが、そこまでしなくても判断する方法があります。肝炎の特徴的な症状は、皮膚や白目が黄色くなる『黄疸』や淡い灰色の便が出ることで、子供が腹部の違和感を訴えているようならこの2点を注視することです。仮に急性肝炎だとしても、ほとんどは回復しているので、パニックにならず、落ち着いて病院を受診してください」(高橋医師)

 今の段階で大人ができることは子供の様子をこれまで以上に注視することだ。

※週刊ポスト2022年6月3日号

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