中山礼都ら新戦力への期待も高まる(時事通信フォト)

中山礼都ら新戦力への期待も高まる(時事通信フォト)

ウォーカーが「1994年のコトー」になるか

 この3連戦ではウォーカーが12打数4安打で3本塁打、高卒2年目の中山礼都が7打数3安打、高卒4年目の増田陸が12打数4安打で1本塁打と新戦力は物怖じせずにソフトバンクに立ち向かっていった。

「彼らは日本シリーズの8連敗を知らない分、余計な先入観なく、いつも通り試合に臨めたと思います。それも結果につながった要因でしょう。初戦の先発アンドリースも来日初登板で6回無失点と抑えた。ソフトバンクの強さを実感していない選手が結果を残していることは興味深いです」

 屈辱を知らない選手が苦手チーム相手に活躍した例は過去にもある。巨人は1990年、日本シリーズで西武に4連敗を喫した。この前後である1989年から1992年までオープン戦を含めて14連敗しており、西武アレルギーは顕著だった。その2年後、長嶋茂雄監督が指揮を取った1994年の日本シリーズで西武を倒して日本一となった。

「その年の新外国人のコトーが優秀選手賞に輝きました。王手をかけた第5戦でダメ押し2ラン、日本一を決めた第6戦では猛打賞を放った。巨人の先制点は、コトーがシーズン中はゼロだった三塁打を打ったことから始まりました。そういう意味で意外性のある選手でしたね。

 また打率は低かったですが、決勝ホームランを何度も打つなど勝負強い面も目立ちました。あとコトーは弱肩で、センター前ヒットで二塁に行かれたこともあった。意外性、勝負強さ、弱肩……、なんとなく今年のウォーカーを想起するファンもいるのではないでしょうか」

 1994年の日本シリーズでは、何度も西武に辛酸を舐めてきた原辰徳が第2戦に決勝タイムリー、第4戦、第5戦と2試合連続の猛打賞と活躍。吉村禎章も第4戦、第5戦に4番に座って共にマルチ安打を放った。

「新戦力が起爆剤となる面はあると思いますが、その一方で、岡本や吉川がソフトバンクに苦手意識を持ったままでは巨人の日本一がないことも確かです。新戦力だけの活躍では常勝軍団に勝てません」

 ソフトバンクに雪辱を晴らすためにも、まずはペナントレースで優勝してクライマックスシリーズを勝ち上がりたいところだろう。

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