ドラマ『彼女』では、水原の提案で、日本で初めてインティマシー・コーディネーターが導入された(Netflix公式サイトより)

ドラマ『彼女』では、水原の提案で、日本で初めてインティマシー・コーディネーターが導入された(Netflix公式サイトより)

 団体には具体的なハラスメント被害も寄せられており、その内容は目を疑うようなものばかりだ。

《ある演出家に仕事先でホテルの部屋に呼び出され、「稽古」と称して身体を触られた。恐怖心があったが、「稽古だ」と言われて何も言えなかった。次の日に「あれはお前にだけやった特別な稽古だからだれにも言うなよ」と言われた。それを聞いて、やはり稽古ではなかったのだと思った》(40代女性、俳優)

《映画の撮影のためだと言って賃貸の部屋に入って来られ性交を強いられる。相手はキャリアが上の俳優で、今も活動しており、既婚。その映画のデータはもらえず出演料もなかった。わずかな交通費を渡されただけ》(20代、俳優)

 日本初のインティマシー・コーディネーターで、それ以前に10年以上映像制作の現場で働き、ハラスメント相談員、カウンセラーの資格も持つ西山ももこさん(42才)は「映像業界にはいまだに古い体質が残っている」と指摘する。

「俳優に限らず、昔は女性スタッフが体を触られるとか、飲み会の後にホテルに連れ込まれたなんていう話などは聞いていました。その実態は、いまもあまり変わっていないと感じます」(西山さん・以下同)

「嫌だったのなら、なぜその場で拒否しなかったのか?」──こうした、まるで被害者にも責任があるかのような声が、二重に被害者を苦しめていると西山さんは指摘する。

「ハラスメントを受けている本人は、パニックになって、そのとき何が起きているのか冷静に判断することができず、ノーと言えない。立場的にはっきり断れない状況にもある。性暴力を受けても、脳が自己防衛しようと正常性バイアスが働き、加害者と恋愛をしているのだと思い込もうとする人もいます」

 アンダーソンさんも続ける。

「従来、女性に限らず俳優はすべてイエスと言うように訓練されてきました。なぜなら、それが彼らの仕事だからです。もしノーと言えば仕事を失うかもしれないから、はっきりと言えなかったのです」

【プロフィール】
西山ももこ/1979年8月23日、東京都生まれ。高校、大学時代にアイルランドで学び、チェコのプラハ芸術アカデミーでダンスを軸に表現活動を学ぶ。2008年に帰国し、翌年からアフリカ専門の撮影コーディネーターに。2020年にインティマシー・コーディネーターの資格を取得し、国内外の作品に携わる。

※女性セブン2022年6月30日号

水原希子も

水原希子も頼った

アメリカでインティマシー・コーディネーターとして活動するアッシュ・アンダーソンさん。自身も俳優だった

アメリカでインティマシー・コーディネーターとして活動するアッシュ・アンダーソンさん。自身も俳優だった(HPより)

西山ももこさん

西山ももこさん(撮影/浅野剛)

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