ビジネス

大ヒット中の「ヤクルト1000」 ヤクルトレディの意見も商品開発に反映

「ヤクルト1000」には様々な意見が反映されているという

「ヤクルト1000」には様々な意見が反映されているという

 マツコ・デラックスや高嶋ちさ子など、芸能界でも愛飲家が増え、全国各地で売り切れが続出している機能性表示食品「ヤクルト1000」。ヤクルトの公式ホームページによれば、同商品は生きて腸内まで到達する「乳酸菌 シロタ株」が1本(100ml)に1000億個入っている。一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」の機能があるという。

 今回の大ヒット商品はいかにして生まれたのか。それは、ヤクルトという企業が持つ独自の土壌が大きく関連している。ヤクルトの設立は1930年、微生物学者の代田稔博士が、シロタ株の強化・培養に成功したことがきっかけだった。元ヤクルト本社広告部長でコンサルティング会社代表の平野淳氏が語る。

「代田博士はこの乳酸菌で、予防医学に基づく社会貢献をしたいとの思いで販売を始めました。『健康は人類の普遍的価値だ』という代田博士の理念は今でも脈々と受け継がれている。ヤクルトは単なる飲料メーカーではなく、人々の健康を第一に考えた『菌を提供している』会社なのが他社と違うところです」

 ただ半世紀以上にわたる社史のなかには、順風満帆ではない時期もあった。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。

「ヤクルトは1970~1980年代は売り上げが落ち込んでいましたが、それでも利益主義に走ることはなく、牛乳と同等の栄養価があることをコンセプトにした『ジョア』などの新商品を開発・ヒットさせてきました。“みんなを健康にしたい”との思いは決して変わらない点がヤクルトの凄さです」

 そうした長年に及ぶ健康第一の精神が結実したのが、「ヤクルト1000」だった。平野氏が語る。

「ヤクルトは現在も新たな菌探しを続ける一方で、シロタ株に新たな可能性がないか研究を続けることも大切にしています。もともと持っていた整腸機能に加え、睡眠の質の向上やストレス緩和という新たな機能を発見できたのは、徹底したシロタ株研究の賜物でしょう。そのなかで生まれた『ヤクルト1000』は“究極のヤクルト”と言えます」

 ヤクルト本社開発部・主事の渡邉治氏は、開発の舞台裏について、

〈高菌数、高密度化の実現には、菌を増やす培養技術や原料の選定、また、風味を損なう酸が出すぎないように高菌数を維持するといった課題まで、一つひとつを乗り越える必要がありました。まさに『ヤクルト』を80年以上作り続けてきたノウハウが詰まった1本です〉(『日経XTREND SPECIAL』)

 と語っている。また各地にいるスタッフが顧客に商品を届ける「ヤクルトレディ」は、商品開発にとっても大きな存在だという。

「お客さまと顔を合わせてヤクルトの機能を紹介するなどの話をし、毎日継続して飲んでもらうこともヤクルトレディの役割です。そうしてお客さまからの様々な意見を聞いているヤクルトレディと研究者が直接話し合う機会がヤクルトにはあり、商品づくりに反映されています」(平野氏)

※週刊ポスト2022年7月1日号

関連記事

トピックス

2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
中途採用応募者が急に増えて担当者は困惑(写真提供/イメージマート)
《SNSの偽情報で実害》中途採用に「条件満たさない」応募者が激増した企業、勝手にFラン認定された大学は「少子化の中、学生に来てもらう努力を踏み躙られた」
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
日本復帰2戦目で初勝利を挙げたDeNAの藤浪晋太郎(時事通信フォト)
横浜DeNA・藤浪晋太郎を大事な局面で起用する三浦大輔監督のしたたかな戦略 相手ファンからブーイングを受ける“ヒール”がCSの行方を左右する
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
15人の大家族「うるしやま家」(公式HPより)
《ビッグダディと何が違う?》フジが深夜23時に“大家族モノ”を異例の6週連続放送 今、15人大家族「うるしやま家」が人気の背景 
NEWSポストセブン
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
濱田よしえ被告の凶行が明らかに(右は本人が2008年ごろ開設したHPより、現在削除済み、画像は一部編集部で加工しております)
「未成年の愛人を正常に戻すため、神のシステムを破壊する」占い師・濱田淑恵被告(63)が信者3人とともに入水自殺を決行した経緯【共謀した女性信者の公判で判明】
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン