通話中にAIが迷惑電話を感知する機械の実用もはじまっているという(写真は対策会議に出席したSKE斉藤)
ほとんどの被害者は加害者を憎まず自分を責めるようになる
被害者への聞き取りを通じて、杉は被害者の心のケアの大切さを痛感している。「被害に遭った人は私がバカでした、とずっと自分を責め続ける。相手を恨むのではなく、ほとんどの人はなぜ騙されてしまったのだろうと自省するんです。心の傷は3~4年経っても消えず、長く、暗い人生を送る。人にも言いづらく、誰にも言えなかった被害の実情を私に打ち明けて肩の荷が下りました、スッキリしました、という声を聞きます。被害を未然に防ぐことはもちろん、万が一、被害に遭ってしまった際には決して本人を責めずにメンタルケアを心がけることも、家族として被害者を救うことになると伝えたい」(杉)
杉は、被害者を心的にどう支えていくかを重要課題として挙げ、被害者へのフォローを継続しながら警察官も被害の実態を把握することで犯罪に斬り込む新たな糸口も見つかるのではないか──と、期待を寄せる。
今後は各都道府県警も家族と連携して被害者のケアにあたり、特殊詐欺撲滅へ向けて被害者・加害者の双方から犯罪の根源を探っていくことを掲げた。